2023.08.17 【工事現場ルポ】街の電器店のある日 15年前取り付けたエアコンと再会 コウモリミイラにネズミも……
2階の取り付けのため、梯子にのぼっての作業となる
この時期、街の電器店はエアコン取り付け工事の依頼に大忙し。確かな技術力と取り付け後のアフターフォローは、まさに街の電器店の出番だ。
梅雨明け翌日、新潟市内にある街の電器店「ライフネット吉田」(新潟市秋葉区、吉田光宏社長)は、15年前に取り付けたエアコンの買い替え工事を行っていた。取材を通じて、15年間での工事技術の変化が見えてきた。
◇現場は2階
この日、同店から車で8分程度の距離にある得意客宅に、吉田社長と記者は向かった。現場は、2階にある趣味を楽しむために使っている部屋。多少効き目が悪くなってもガス交換をして凌いできたが、いよいよ昨年から動かしても効かなくなったため、今回交換に至った。
室内機を取り付ける前に、周辺の壁についた綿埃を掃除機で吸い取る。「こういう時しか掃除できないからね」(吉田社長)。
◇細心注意!
配管パイプの端を広げて接続するフレア加工は、細心の注意が必要だ。配管パイプには、かなりの圧力がかかる。室外機の破裂事故が起こる例もあるようで、配管の圧力を逃がさないように、注意を払ってフレア加工を施す。「ここでミスをしないように!」と、フレアツールの手入れも欠かさない。
◇より良くなる
室内機から外へ伸びるドレンホースと電線を一緒にテープで等間隔に巻くことで、ドレンホースだけが抜けることは防げる。「そうしないと、ホースだけが外れて水漏れにつながることもある」(吉田社長)という。
15年前の施工をみると、等間隔にテープを巻くことをしていなかった。「やり方も年々変わる。下準備の大切さがわかったということかな」としみじみ語る。
◇無事、稼働!
配管の中には水分を含んだ空気が入っており、そのまま稼働させてしまうと潤滑油と混ざり合ってゼリー状になってしまうという。水分を取るために、手動の真空ポンプで配管内の気圧を下げ、沸点を下げることで水分を抜く。
工事途中から留守にしていた家主が戻ってきて、エアコンのスイッチをオン。室外機と配管の接合部分を触ると、冷たく、結露している。「ここを触れば、ちゃんと動いていることがわかる」(吉田社長)。記者からの質問に答えつつ、工事開始から2時間ほどで終了した。
◇コウモリミイラにネズミも!?
エアコン取り付け密着取材の中で、吉田社長は「隙間があると、コウモリが巣を作ってしまうこともある」というゾッとする話をこぼした。エアコン取り付け工事の際に、古いエアコンの配管カバーを取ってみると、ミイラになったコウモリが、ぽとんと落ちてきたことがあったのだという。身の毛もよだつ話だ……。
同店はアフターフォローの一環として、エアコンの点検活動にも取り組む。18年ほど点検活動に取り組む金沢宏美さんも、思わず家のエアコンが心配になるような小動物の話をしてくれた。
ある日、得意客からエアコンのフィルター自動掃除機能の調子がおかしいという相談を受け、エアコンの前面パネルを開けて中を見たところ、穴が開いていたという。何の穴だろう? 調べてみると、ネズミがかじったものだと判明! フィルターを新しいものと交換したら直ったそうだが、家主が知らぬ間にエアコンの室内機の中で、〝大運動会〟をネズミがしていたのかと思うとゾッとしてしまう。
もしかして、アナタの家のエアコンにも、何かが潜んでいるかもしれない。1年を通じて活躍するエアコン。壊れて使えないという事態は避けたいところだ。