2020.02.26 【ICT展望2020】NECネクサソリューションズ・團博己社長

團社長

市場の変化をしっかり捉える

 ―ここにきて景気動向などに不透明感も出ていますが、ICTの市場環境をどう見ていますか。

 團社長 19年のICTの市場環境は、引き合いなども活発で順調に推移した。良好な状況は継続しているが、少し先が見えないとの見方も出てきてはいる。しかし、働き方改革やデジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)など新しい領域へのICTへの期待感は高まっていく。今後もICT業界は堅調に推移するだろう。

 ―御社が主な対象としている中堅企業・団体などのICT投資状況はどうですか。

 團社長 これまで我慢してきたコンピュータシステムの見直しの時期に入った。

 AI(人工知能)、IoT、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)などの新しい技術が具現化、実用化の段階を迎えている。この傾向は特定の業種ではなく、製造業、流通業、サービス業など全業種で進んでいる。これに東京五輪・パラリンピックやウインドウズ10への更新、消費税軽減税率の導入などもプラスした。

 ―システムの見直しにはどのような傾向、変化がありますか。

 團社長 基幹系システムの見直しも、データの活用、見える化、働き方改革への対応と併せて進んでいる。労働人口の問題もあり、機械化で置き換えられるところでは置き換える動きが本格化している。DXにはNECグループを挙げて取り組んでいる。大手企業が先行したが、今後は当社がメーンとする中堅企業に広がってくる。

 ―DXにはどのような視点で取り組まれますか。

 團社長 DXは、スピード感を持って業務プロセスを革新していくことが求められる。このためには、パッケージを中心に業務革新を定着させることが重要だ。ERP(統合基幹業務システム)パッケージ「EXPLANNER(エクスプランナー)」をはじめ、各業種別のパッケージを用意し、ニーズに応えている。

 もう一つはクラウドサービスの提供だ。クラウドサービスへの移行が加速している。クラウド比率は流通・サービス業で80-90%、製造業でも30-40%にまで高まった。クラウドサービスでは、初期投資の抑制、拡張性など、柔軟な対応が可能だ。

 当社の強みは、業種にフィットしたテンプレートなどを数多く準備しているところにある。製造業でも組立業と食品業とでは、特徴などが少し違う。業種に合わせたキメ細やかな提供に力を入れ、お客さまのDXを支援していく。

 また、スマートシティー、サプライチェーンなど業種を超えた取り組みが増えてくる。ほぼ全業種を対象にしている当社のノウハウを生かす。

 ―19年度の業績見通し、20年度の方針をお願いします。

 團社長 19年度は、目標の前年比109%を上回る2桁伸長で推移している。今後はDXの本格化やスマートシティーなど、これまでと違った領域にICTが広がりを見せてくる。こうした市場の変化もしっかり捉え、リソース改革、働き方改革、業務改革を推進していく。