2023.09.07 パナソニックHD、HD-PLCのブランドを「Nessum」に変更
ブランド変更とともに、新しいロゴも制定(右が有線、右は無線規格の新ロゴ、中央はネッサムのロゴ)
パナソニック ホールディングスは、2006年に実用化した「HD-PLC(高速電力線通信)」技術のブランド名を、「Nessum(ネッサム)」に変更し、さらなる普及を目指しグローバル展開を加速する。
同社の小川立夫執行役員グループCTOは「HD-PLC技術は現在電力線に限らず同軸ケーブルをはじめ既存のメタル線や、ループアンテナ搭載で近距離無線での高速通信にも使われるようになり、電力線通信という言葉が実態とあっておらず、お客様が混乱している。イメージを刷新し、より普及を目指していきたい」と話す。
同社が参画するIEEE標準規格協会の次世代通信規格IEEE P1901cの作業部会で、同社が開発した近距離無線通信のWavelet OFDM方式をベースとする技術がドラフト1.0として8月に承認されたのを機に、ブランド変更を行った。
同規格は、同じ変復調方式を様々な通信媒体(Any Media:有線、無線、海中含む)で利用可能で、IoT社会を実現する通信手段のひとつとなることを目的とする。
今回、技術ドラフトとして承認された次世代通信規格は、有線通信として利用周波数を従来のメガヘルツ帯からキロヘルツ帯まで拡張することで、様々な通信媒体での更なる通信の長距離化が可能となる。
また、アンテナを利用し、微弱電波による無線通信に適用することで、高いセキュリティ性と通信範囲を制限可能な近距離高速無線が実現できる。
加えて、従来困難とされていた海中でのIoT通信の実現にも貢献し、現在情報通信研究機構(NICT)のBeyond 5G研究開発促進事業に採択され、実証実験中だ。
同社技術部門 事業開発室 IoTPLCプロジェクトの荒巻道昌総括担当は「HD-PLCは現在B2B通信インフラとして累計450万台超の実績がある。有線はもとより無線や水中を含め、Nessum技術はこれより10倍の普及インパクトを持つと考えている」と話す。
今後既築のビルや工場のスマート化、太陽光発電などスマートエネルギー分野、EV充電スタンド、地下・トンネルなど遮蔽空間での通信など、幅広い分野での普及を目指す。
(後日の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報予定です)