2023.09.25 【九州・山口産業特集】九州テン マルチOS対応IoTゲートウェイ販売順調

「QRIoTX」

森田 常務森田 常務

 九州テン(福岡市博多区)では、昨年発売したマルチOS対応のIoTゲートウェイ「QRIoTX」が、販売台数を順調に伸ばしている。

 コロナ禍で、ものづくりにおいてもDX化が影響していると、プロダクト事業本部長の森田一之常務取締役はみる。省電力化や通信の効率化にもつながるため、「CO₂削減など環境を含め、SDGsへの利活用も背景にあるのでは」とする。

 同社でも創立60周年となる2027年に向けて、可視化や自動化など生産能力の向上に取り組むことでスマートファクトリーの実現へ動き出している。

 昨年から工場のネットワークの強靭化(きょうじんか)に着手。通信ネットワークで弱い部分を抽出して5Gの導入などを検討している。スマートファクトリーに必要な大容量で遅延の少ない5GにQRIoTXを今後対応させ、社内でもQRIoTXを活用する予定だ。

 今年度下期から高速対応のハブなどを入れ、24年上期には全方位カメラを工場に導入予定。動態管理、骨格感知、温度検知などから人の動きをセンシングし、作業効率化を図ろうとしている。

 スマートファクトリー化と合わせ、「教育にも投資」(森田常務)と、佐世保工業会主催の外部講師を招いた技術スキル教育を、3カ月に1回のペースで受講している。社内では、ヒューマンスキル研修を軸に年齢別教育を毎年実施しており、こちらは6年目。社内外で教育に力を入れ、従業員の満足度向上にもつなげている。

 より上流工程へシフトしていく中で、リスキリングも重要に。「技術者が圧倒的に多いので、リソースをいかに事業構成に生かしていけるかが使命。ものづくり、ソフト開発も仕組みは変わっていく」と、どこにパワーシフトするかが企業の課題とみる。

 一方で、プロダクト部門としてものづくりに携わる森田常務は「ものを作る喜びは外せないと思う。地政学的なことを含めて日本にものづくりの波が戻ってこようとしている」と語る。

 地の利として、佐世保は活断層がないといわれ、BCPの観点から佐世保工場での製造が提案できる。交通面では福岡市を起点とする西九州道の整備が進んでおり、「開発が進めばかなりの競争力を生んでくれる。機会を見逃さず、ものづくりにつなげていきたい」と意気込む。