2023.10.16 中国、規制をくぐって半導体開発加速か 米有力シンクタンクCSISが分析

ファーウェイのイベントから

 米国の対中規制の中で、中国では逆に半導体技術が進歩している可能性がある。そう指摘するレポートを、米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)が今月、まとめた。中国の華為技術(ファーウェイ)は規制の中で、7ナノメートルの半導体を搭載したスマートフォンを発売。CSISは脅威の可能性を提起する。

 レポートは、半導体をめぐる対中輸出規制や、ファーウエイの動向などを分析した。同社は8月に、新しいスマホ「Mate60Pro」を発売し。プロセッサーは、同社の子会社によって設計され、中芯国際集成電路製造(SMIC)で製造された半導体が使われている。

 中国政府は、ファーウェイとSMICを、半導体製造装置大手の中微半導体設備(AMEC)や北方華創科技集団(ナウラ・テクノロジー・グループ)とともに、半導体分野での自立のための柱に位置づけているとされる。その中で、ファーウェイは事実上、中国政府が支援するチームのリーダーであり、半導体の政策立案に影響を与える特別な立場にあると分析している。

 SMICは7ナノ(同社の呼称では「N+2」のプロセス)で生産。中国メディアは社説で、「米国の制裁がいかに効果がなかったかを示している」と主張している。「米国による極端な抑圧は失敗した」と主張した。

 中国の技術進歩からみて輸出規制がが十分効果を上げていないと判断することと、輸出管理が戦略的に役に立たないと判断することの間には違いがあるとはいえ、「中国と世界の技術レベルのギャップは縮小している」と指摘する。また、軍事用途にも使えるようなる可能性がある。

 ファーウェイは、米企業のソフトウエアツールを使用してのチップを設計した可能性も高いという。中国のソフトウエアの著作権侵害は業界ではよく知られており、海賊版を使った可能性も指摘されている。

 また、半導体メーカーにとっては歩留まりが課題だが、SMICも運用経験を積むにつれて、歩留まりを上げていると考えられるという。米中関係ではデュアルユース(軍民両用)の輸出管理ラインを引くのは難しいと指摘。そのうえで、同盟国が連携して当たる必要性を指摘した。

 (17日の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報予定です)