2023.11.06 【ケーブルテレビ特集】住友電気工業 トータルソリューション提供 放送の高度化めざす

ACASの新しいサービス対応した「ケーブルプラスSTB-2 mini」

 住友電気工業は、ケーブルテレビ(CATV)の放送サービスを支えるトータルソリューションを提供している。

 CATV業界では、4K放送の増加などによる帯域の不足が問題になっており、RF方式からIPマルチキャスト放送への移行「オールIP化」や伝送帯域が広いFTTH化への取り組みが積極的だ。

 そのためCATVのネットワークの高度化・強靭化(きょうじんか)が求められており、日本ケーブルテレビ連盟を中心にCATV業界で推進している「2030ケーブルビジョン」に沿って、4K/ACASマイグレーションやオールIP化に対応した取り組みが各社で行われている。

 同社は、放送サービスの高度化を目指し、ACASへのマイグレーションを推進、既存サービスの更新をさらなる高実装・省電力で実現する「FLEXCITER」シリーズを展開している。ACASマイグレーションを容易にする装置として、SMPTE2022準拠した「JC-HITSトランスモジュレータ」をはじめ、BS・高度BS、地デジ、多チャンネルに対応した「デジタルヘッドエンド(HE)装置」、高度ケーブル自主放送システムのHE装置と高度ケーブルローカル自主スクランブル装置などを提案している。

 一方で、従来のC-CASのサービスが2030年には停止されるといわれている。そのためには、ACASのHE装置やSTBを交換する必要があり、同社は両ソリューションを提案していく。

 ACASの新しいサービスに対応した「ケーブルプラスSTB-2 mini」を新しく開発。4K放送対応とダブルチューナー搭載の小型端末となっており、番組を視聴しながら裏録画ができる。新規開発の放熱設計によりFANレスを実現する。

 また、SDGsに配慮し再生樹脂を採用、環境に優しい素材を用いることでGX(グリーントランスフォーメーション)の貢献にもつなげる。

 STBを利用した取り組みとして、東京トラベルパートナーズとの協業で、自宅のテレビで旅の気分を味わえる視聴者参加型リモート観光配信サービス「旅介ちゃんねる」のライブ配信を実施予定である。

 放送サービスのオールIP化に対応した取り組みとしては、長年通信キャリア向けにIP放送用の局側装置とSTBの両方とも提供してきたノウハウを使いながら、IP自主放送に対応した「IP-STB」を開発した。

 同社は、昨年11~12月にかけて日本デジタル配信と栃木県のCATVとともに、IP放送のHEからFTTHのPONネットワークを介して、家庭にある端末に伝送する実証実験を実施。CATV放送のオールIP化の実現に向けて、IP方式でもRF方式と同一の放送サービスを安定的に提供することに成功した。

 ハイブリッドキャストを活用した防災カメラ映像や地域情報を提供する「ライブ配信システム」も展開しており、地域課題を解決する提案も行っている。