2023.11.29 【掃除機特集】コードレススティックが伸長

年末商戦ではコードレススティック掃除機の需要拡大に期待がかかる

 掃除機は、くらしの清潔、快適を実現する機器として、普及台数、市場規模とも家電製品の中では大きなウエートを占める。年末は大掃除需要が顕在化するため、商戦もピークを迎える。店頭の実機体感などを通して買い替え、買い増し需要の顕在化には好機だ。

 掃除機市場は、今期に入ってから、新型コロナ禍で拡大した需要の反動や消費行動の変化(コト消費の拡大)、物価高騰に伴う消費意欲の減退などの影響で前年割れが続いている。ただ、室内の清潔や快適志向は強く、通期では安定した推移が見込める。年末の大掃除需要もあり、今後商戦の盛り上がりに期待がかかる。

 市場では近年、コードレススティック掃除機が需要を伸ばし、従来型のキャニスター掃除機からスティックタイプへ買い替えるユーザーも増えている。家事負担の軽減や、サッと掃除したいというニーズが強まっていることから、コードレススティック掃除機が特に支持を受けている。

 ■掃除機需要

 新型コロナが感染症法上の5類に移行してから、くらしのスタイルにも大きな変化が表れて、消費支出が外食や旅行、レジャーなどアウトドアに傾き、家電などモノへの消費が、いまのところ減少傾向にある。

 特別定額給付金も含め巣ごもり消費で拡大したコロナ禍での需要の反動も影響し、家電製品の買い替えがなかなか進んでいない。

 掃除機の出荷台数は、2023年度に入って10月までの業界出荷(日本電機工業会まとめ)が累計(4~10月)で前年同期比87.5%にとどまっている。ただ、10月単月で見るとスティック型は前年同月比101.2%と8カ月ぶりに前年比プラスに転じたということで、復調の気配も見えている。これから本格的な年末商戦期を迎えることから、さらなる需要の伸長に大きな期待がかかる。

 ■コードレススティック掃除機の需要拡大

 掃除機の市場では近年、掃除の負担を減らすコードレススティック掃除機の需要が拡大し、かつて主流だった紙パック式やサイクロン式のキャニスタータイプは減少傾向にある。

 共働き世帯が増加し、家事負担の軽減へのニーズは強く、中でも負担の大きい掃除の分野では、この思いが強い。

 軽量で取り回しに優れ、ハイパワー、静音性など、スペックが年々向上するコードレススティック掃除機には、高い関心が持たれるはずだ。

 コードレススティック掃除機は、掃除機全体に占める構成比が6割を超えている。スティック掃除機をセカンド掃除機ではなく、メインの掃除機として利用する人も増えている。今までキャニスター掃除機を使っていたユーザーも、スティック掃除機へ買い替える動きは今後も広まりそうだ。

 コードレススティック掃除機の製品開発の方向性として、軽量・ハイパワー・長時間運転・静音性・清潔性といった観点で、各社の機能開発が活発だ。

 ハイパワーや軽量化の開発競争は、今後も継続すると思われるが、近年では、静音性や清潔性といった観点まで拡大し、総合的な商品力を高める動きが強まっている。

 パナソニックでは、スティック部とダストボックスを分離したセパレート型を提案して好評だが、11月から順次発売する新製品は、機種数を3機種まで拡大し、長時間運転やフローリング掃除特化型など、多様化する掃除ニーズに合わせた商品戦略をとり、需要顕在化に取り組んでいる。

 同社によると、自動ゴミ収集機能を搭載した点が評価されており、ごみ捨ての負担や清潔性が維持されることへの評価が高く、スティック部の軽量化も図れることからサッと掃除したいとするユーザーにも好評だという。

 今後、同社ではこうしたコードレススティック掃除機におけるセパレートタイプの構成比が25年度は現状から倍増し、スティックタイプ全体の約2割まで高まると見ている。

パナソニックの主力製品

セパレート型コードレススティック拡充

用途別に最適機種選択、ユーザー目線で3機種追加

クリーンドックを搭載したコードレススティック掃除機(左からMC-NX700K/NS100K/NS70F)

 パナソニックは、クリーンドック(自動ゴミ収集機能)を採用したセパレート型コードレススティック掃除機が好評だが、第2弾となる新製品は3機種をラインアップに追加した。

 大容量バッテリーモデルやフローリング特化モデルなど使い方に合わせて商品開発を推進し、多様化するニーズに対応している。

 2021年に同社が業界で初めて発売したクリーンドック搭載セパレート型コードレススティック掃除機MC-NS10Kは、ごみ捨ての手間が省け、メンテナンスが簡単になった点が高い支持を受け、累計販売台数13万台以上を達成した。

 購入ユーザーからは、掃除の頻度が増えたなど掃除意識に変化が表れ、「ごみを見つけたら後回しにせず、すぐに掃除する」と行動がポジティブになったという。

 新製品3機種を追加したものの、上・中・下という位置付けのラインアップではなく、消費者のニーズが多様化する中、幅広い用途に合わせて、ユーザー目線で最適なスペックをそろえた。

 新製品は、バランスのとれたスペックを採用するNS10Kの後継モデルであるMC-NS100K、大容量バッテリー搭載で長時間運転を実現した同NX700K(24年3月発売)、フローリング特化型の同NS70F。使用シーンや家族、単身など世帯の状況に合わせ、最適な機種が選べる。

 NS100Kは、従来機種NS10Kにフローリングの掃除性能を高めた「フローリングの菌までふき掃除」を搭載。さらにクリーンドックの運転音を約4デシベル低減した。工具なしでバッテリーの着脱もできる。

 しっかり掃除できるMC-NX700Kは、郊外の一戸建てのような広い住居での使用も考慮した長時間駆動バッテリーを搭載。強モードで約10分、ロングモードでは30分以上使用できる。また、ナノイーX搭載で紙パック内を除菌、脱臭。リビングに安心して設置できる。

 単身世帯やマンションなど、広いフローリング面積での用途に適したNS70Fは、新開発の「動くノズル」を搭載。ノズルの羽根の部分が左右に動き、部屋の隙間や家具の脚周りなど隅々まで掃除できる。