2023.11.29 【産業用ロボット/産機・ロボット用部品特集】産機・ロボット用部品動向 積極的な新製品開発へ IoT導入などで需要が拡大

高度な電子部品技術がロボットの高性能化を支える(3D角度センサー)

 電子部品メーカー各社は、中長期の成長戦略として、産業機器・ロボット市場への展開を強化している。近年は世界的な自動化・省人化ニーズが強まる中で、FA制御機器やサーボモーター、産業用ロボットなどの需要が急増しており、今後もモノづくりの高度化や各種インフラ分野でのIoT導入の広がりなどによる産業機器市場の活性化が期待されている。電子部品各社は、同市場を最重点市場の一つに位置付け、積極的な新製品開発と営業・マーケティングの強化を推進する。

 直近の産機用部品市場は在庫調整の長期化により低調に推移しているが、調整一巡後は再び力強い成長が期待される。特に今後は、産業用/非産業用を含むロボット需要の増大や、インダストリー4.0の適用拡大、さまざまな産業分野でのCPS/IoTの導入拡大などが需要を大きく押し上げていくことが期待されている。

 ロボットに搭載される部品にはモーターやセンサー、アクチュエーター、光学部品、無線通信モジュール、タッチ入力デバイス、音声認識デバイス、電源、受動部品、接続部品などがある。部品各社は、ロボットの高性能化や高精度化、小型・軽量化、安全性向上などに寄与する技術開発を加速させ、新たなビジネスの獲得を目指す。

 ロボット向けセンサーには荷重検知用の圧力センサーや関節角度検出用のポジションセンサー、姿勢制御用のジャイロセンサー、加速度センサー、光学式センサーなどがあり、一層の高精度化や小型軽量化、耐振性などが求められている。センサーメーカーはMEMS技術やパッケージング技術を駆使し、汎用(はんよう)性に優れた高精度センサー開発を強化。超小型で高分解能の製品開発を追求する。

 回路部品では、FA機器・産業用ロボットでは高精度で信頼性の高い制御技術が要求され、制御回路基板に使用されるコンデンサーや抵抗器などにも高度な技術が求められる。効率よく制御回路を組み込むため回路基板の小型化が要求され、受動部品の小型・高性能化やモジュール化が重視される。誤動作防止のため、ノイズ対策や過電流・過電圧の保護デバイスも重要。電源まわりでは小型・低損失のインダクター開発も活発となっている。

 接続部品では、インターフェースコネクターは小型・堅ろう・長寿命化などが重視される。加えて、スマートファクトリー化やIoT化で機器間通信の高速化や多機能化が強まり、一層の多極化や高性能化が求められている。丸型コネクターはワンタッチロック嵌合(かんごう)方式の防水丸型タイプなどの提案が進展。操作性に優れ経年変化によるネジ緩みも解消されるため、信頼性やメンテナンス性に貢献する。電源用は250A対応などの大容量化が進展している。