2023.12.01 全銀ネットとNTTデータ、大規模システム障害を改めて陳謝 再発防止策の実効性向上を強調

システム障害についてあらためて謝罪する全銀ネットの辻理事長(中央)ら=1日、東京都千代田区の銀行会館

記者会見に臨む全銀ネットの辻理事長(左)とNTTデータの佐々木社長=1日記者会見に臨む全銀ネットの辻理事長(左)とNTTデータの佐々木社長=1日

 全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)とNTTデータは1日、東京都内で記者会見を開き、10月に起きた大規模なシステム障害の原因や再発防止策について説明した。出席した全銀ネットの辻松雄理事長やNTTデータの佐々木裕社長らは冒頭、改めて謝罪。辻理事長はリスク管理体制の不備が背景にあったとして、システム人材の育成強化などを再発防止につなげる考えを示した。

 今回のシステム障害は、銀行間の資金決済を処理する全国銀行データ通信システム(全銀システム)で、10月10日から2日間にわたり発生。三菱UFJ銀行やりそな銀行など計10の金融機関と全銀システムの間で、他行宛ての振り込み電文を送れなくなるという事象が発生。2日間で送金と着金を合わせて、約560万件もの取引に影響をもたらした。

 障害は、全銀ネットのシステムと各金融機関を結ぶ中継コンピューターを更新する作業を実施したことが原因となって発生。振込手数料の計算に関するデータに不具合があったことが確かめられているという。

 全銀ネットなどは11月30日、原因や再発防止策などをまとめた報告書を金融庁に提出した。再発防止に向けては、全銀ネットが事業者の委託元に求められるマネジメント力を高めるとともに、加盟金融機関も含めたBCP(事業継続計画)を実行する体制の整備などを推進。NTTデータグループでは、障害を踏まえ立ち上げた「システム総点検タスクフォース」が真因分析の結果や再発防止策の内容を検証し、妥当性を評価。その上で、防止策の実効性を高める方針を示した。

 全銀ネットの辻理事長は会見の冒頭で「大変なご迷惑、ご心配をおかけした」と謝罪。さらに「再発防止策を速やかに今後実行に移して、これを組織内に根付かせて、常に実効性の高い状態を維持することが重要だ」との認識を示した。

 NTTデータの佐々木社長は「直接の原因は当社の責任」と語るとともに、障害発生時の対応の優先順位などで全銀ネットと意思疎通が十分でなかった点を認めた。