2023.12.21 政府、AI活用で事業者向け指針案 「人間中心」「安全性」など10項目
会合に臨む岸田首相(右から2人目)出典:首相官邸のホームページ
政府は21日、人工知能(AI)に関する政策の方向性について話し合う有識者会議「AI戦略会議」の第7回会合を開き、AIの安全・安心な利用を促す国内事業者向けガイドライン(指針)案を示した。意見公募を経て、2024年3月までに策定・公表する予定。
今回の指針案では、政府が示した「人間中心のAI社会原則」という基本理念や原則を土台に、AIを開発・提供・利用する全ての関係者が留意すべき事項を整理した。
具体的には「人間中心」「安全性」「公平性」「プライバシー保護」「セキュリティー確保」「透明性」「アカウンタビリティー(説明責任)」「教育・リテラシー」「公正競争確保」「イノベーション」という10項目を明記した。
中でもAIシステムを開発する事業者に対しては、学習データを適切に収集して適正利用につながる開発に取り組むよう要求。セキュリティー対策の仕組みを導入するとともに、開発後も最新動向に留意してリスクに対応することも求めた。
AIサービスの提供者には、AI開発者が設定した範囲内でAIを生かすよう要求。AI利用者にも適正利用を促し、バイアス(偏り)に留意して責任を持って出力結果の利用を判断することなどを求めた。
同日の会合で岸田文雄首相は、英国や米国でAIの安全性研究を行う機関が創設された動きに言及。日本としてもAIの安全性評価手法の研究などを行う機関を来年1月めどで設立する方針を表明した。「AIの技術やビジネスは今後も変化し続ける。今後起こり得ることを予測しながら、規制と利用促進を一体的に進める方策を引き続き議論してほしい」とも述べた。
国際的なAIルールを協議する枠組み「広島AIプロセス」を巡っては、12月上旬に主要7カ国(G7)首脳が閣僚級会合の成果を承認した。指針案には、高度なAIシステムに関する国際指針と、それを具体的に示す行動規範をまとめた広島AIプロセスの内容も反映しているという。