2024.01.01 【AV総合特集】各社の24年事業戦略 アキュフェーズ 鈴木雅臣代表取締役社長

 2023年は、新型コロナ第8波がピークを迎えたところからのスタートだったが、3月には収束し、オーディオショーや試聴会などのイベントが開催されるようになった。コロナが「5類」に移行した5月以降は例年に近い数のオーディオ・イベントが各地で開催されるようになった。

 国内の販売は年初こそスローな立ち上がりだったが、総じて好調だった。ハイエンド・オーディオ機器の販売促進は、お客さまに製品を見て、触って、聴いていただかなければならないため、対面対応が基本。コロナ禍が明けて、やっとこれが実践できるようになった。今年は、オーディオ・イベントが各地でより多く開催されるだろう。当社はこれらに積極的に参加して、対面でお客さまに製品をアピールしていく。

 昨年は新製品5機種を市場投入した。5月にクリーン電源「PS-530」の後継機「PS-550」を発売。その後、「C-2450」と「C-2150」を統合したプリアンプ「C-2300」を6月に、純A級モノフォニック・パワーアンプ「A-300」のステレオ版「A-80」とAB級ステレオパワーアンプ「P-4500」の後継機「P-4600」を10月に、SACDプレーヤー「DP-750」の後継機「DP-770」を11月にそれぞれ発売した。いずれの新製品も初回生産分が完売となり、それ以降も販売は好調で製品納入までに時間をいただいている。一部の製品は春の生産分に予約が入っている。

 当社は22年6月に創業50周年を迎えた。これを記念してプリアンプ「C-3900」と「A-300」、純A級プリメインアンプ「E-800」、AB級プリメインアンプ「E-5000」、SACDプレーヤー・システム「DP-1000/DC-1000」といった各分野でフラッグシップとなる50周年記念モデルを発売した。それらは、50周年記念モデルの技術と音質、機能を下位機種へ展開したものだ。今年も下位機種への展開を積極的に推し進めて製品全体の水準を上げ、価格を上回る付加価値を製品につけていく。

 昨年は、製品の保証期間に関して大きな進展があった。CDプレーヤーの保証期間を3年から5年に延ばした。これにより、フォノ・カートリッジのような機械的に動作する製品を除いた全ての電気製品が5年保証になった。製品の保証期間は、創業当初に2年、その後99年に3年、09年にCDプレーヤー以外を5年と順次延長してきた。

 当社は、創業時より長期の信頼性と安定性に優れた部品を選定し、部品の定格に対し余裕を持たせた設計を実践することで、製品の長寿命と長期安定性を確保してきた。昨年の修理件数は10年前の71%、5年前の84%まで下がっている。これらの結果がCDプレーヤーを含めた5年保証に結実した。

 また、当社は製品安全にも力を入れており、「製品安全対策ゴールド企業」として経済産業省に認定されている。これからも安心して音楽を楽しんでいただくため、絶対的な信頼性と安全性を付加価値としてお客さまに提供していく。