2024.01.01 【AV総合特集】各社の24年事業戦略 オーディオテクニカ 松下和雄代表取締役社長
1962年にカートリッジを祖業の製品として創業以来、数々の音響機器を世に送り出してきた。人間の感性・人間らしさこそが豊かさの根源であるとする、独自の「アナログ」観を大切に培い、どんなに時代や環境が変わろうとも、この「アナログ」という人間中心の考え方を持ち続けること。そして、音の可能性を信じ、ニーズに即した多様な音体験を創造していくことこそが当社の理念だ。カートリッジ、マイクロホン、ヘッドホンの三つのカテゴリーで開発・製造・販売を行う唯一無二の総合トランスデューサーメーカーとして成長してきた。
昨年は新たな一歩として創業時より受け継ぐ伝統と蓄積されたノウハウ、高い技術力により実現したハイエンドオーディオシステム「鳴神(NARUKAMI)」を発表し、日本の伝統文化をモチーフに、最先端の音響技術と厳選されたカスタムパーツで作られる至極の音体験を提案した。さらに、一昨年に60周年記念の限定モデルとして復刻したサウンドバーガー「AT-SB2022」が話題となり、通常モデル「AT-SB727」として昨年販売を開始した。
また、業務用機器では国際放送機器展「Inter BEE 2023」に出展。3Dオーディオサウンドを収音可能なイマーシブオーディオマイクロホン「BP3600」では、スポーツイベントや映画撮影の制作現場でより使いやすくなる新たなソフトウエアとの連携を実体験できる展示が注目を集めた。ブース内のハドルルームでは独自の通信プロトコル「Audio-Technica LINK」対応製品と、マイクが話者を検出してカメラと連動するデモを行った。
一方、11月には〝アナログを巡り、感性を刺激する蚤の市〟「Analog Market 2023」を青山で開催。大人も子どもも一緒に楽しめる〝アナログ〟なワークショップや〝アナログ〟な食体験のほか、〝時間〟をテーマに空間と香り、音を融合させたディープなレコードリスニングが体験できる場を気鋭のクリエーターたちと共に創り上げた。
海外では、音楽と芸術教育で世界中の子供の育成を手助けする「PLAYING FOR CHANGE」へのスポンサー支援による音楽文化への貢献や、MotoGP世界選手権のオフィシャルマイクロホンソリューションプロバイダーとして、スポーツの分野でもお役に立つことができた。「未知との出会い」をテーマにした子どものための屋内広場「PLAY! PARK」との取り組みも継続し、子どもたちが五感を使って音を楽しむためのさまざまな創作遊具やワークショップを体験できるイベントも開催。また「PLAY! MUSEUM」ともコラボし、日本初の企画展示「エルマーのぼうけん」展を音響面でサポート。「音を感じる展覧会」として大きな反響があった。
今後も新しい価値を生み出し、音楽を愛する全ての人にフレッシュな感動と幸福を提供し続けることこそが当社の大切な役割であり、守るべき使命ではないかと考える。24年も皆さま方と共に業界を盛り上げ、共に発展していきたい。