2024.01.01 【AV総合特集】各社の24年事業戦略 シャープ 岡本寛文TVシステム事業本部本部長
テレビ市場は、買い替え需要期に入っているが、2023年は巣ごもり需要の反動や物価高騰、また外食やレジャーなど外向きの消費が高まったこともあり、台数的には伸びず、23年度通期では年間400万台程度の安定した需要を見込んでいる。
一方で、テレビの販売単価は緩やかに上がっており、3年前と比べると平均8%上昇、高付加価値化が進んでいる。
テレビの高付加価値化のポイントは、大型化や高画質化、高音質化、スマート化の四つの切り口で、近年この傾向が強まっている。フルHDから買い替える際には、より高画質・高音質など、より良いものに対するニーズが強まっている。
23年には50V型以上のテレビについては構成比が39%となり、コロナ前の19年比で10%高まったほか、65V型以上は12%となり倍近く構成比が高まっている。
この大型化と相まって、有機EL(OLED)テレビや量子ドット(miniLED)テレビの構成比が高まり、OLEDも高画質化してQD-OLEDが登場している。
また、立体音響など高音質化やスマート化も含め、24年のテレビ高付加価値化の流れは変わらず続いていくものと思われる。
当社では、引き続き大画面化、高画質・高音質化に取り組み、本物感を追求していきたい。またVODサービス利用が拡大する中、ユーザーエクスペリエンスの追求にも力を入れていく。
併せてスマートフォンなどで番組を視聴するユーザーも多い中、改めて大画面・高音質なテレビの良さを伝え、需要を掘り起こしていくことも重要だ。
23年9月には4K有機ELテレビの新製品「AQUOS QD-OLED」FS1ライン(65V型/55V型)を投入し、miniLEDバックライト搭載「AQUOS XLED」と合わせ、フラッグシップモデルとなる高精細テレビの陣容を強化した。
FS1ラインの立ち上がりは好調で、前年同等モデル(有機ELテレビ)と比べて大幅に販売が伸びている。
また、4K液晶テレビ「AQUOS」では、FN1/FN2/FL13ライン9機種を23年6月に投入、大画面化が進む中で、新たに75V型(FN1ライン)を追加した。
さらにセカンドTV需要を掘り起こすべく、32V型/24V型の2KスマートTV・EF1ラインも23年1月から発売した。本来40V型以上でスマート対応していたが、手頃で高機能なセカンドテレビとして提案していく。
オーディオ関連では、テレビ視聴やWeb会議など幅広いシーンで活用でき、軽量で連続16時間再生可能な好評のウエアラブルネックレススピーカー「AQUOS サウンドパートナー」AN-SS3と、臨場感あふれる立体音響が手軽に楽しめるAN-SX8を23年7月に発売した。
11月にはコンパクトで手軽に立体音響が楽しめるサウンドバー「AQUOS オーディオ」HT-SB700も発売し、オーディオの主力商品の戦略も強化した。