2024.01.03 【暮らし&ホームソリューション特集】’24各社の戦略 ダイキン工業 舩田聡専務執行役員空調営業本部長

舩田 専務

省エネとCNを切り口に
ユーザーのメリット訴求

 2023年は、ルームエアコンの分野では猛暑ながら業界全体では前年を割っている状態だ。当社ではシェアを伸ばしたものの、全体として厳しかった。11月以降は本格的な寒さの到来でエアコン暖房ニーズが拡大し好調に推移している。

 空気清浄機については、業界全体がコロナで大きく伸びたことがあって、その反動で縮小傾向にある。

 エコキュートは、23年度第2四半期以降需要が拡大している。当社では、太陽光発電と連携するおひさまエコキュートの提案に力を入れている。ZEH普及が拡大する中、市場全体は今後も伸びていくとみている。

 業務用パッケージエアコンの分野では、店舗・オフィス用エアコンが設備投資の減少で厳しいが、ビル用マルチエアコンや設備用エアコンはビルや工場の更新需要、工場の設備投資拡大に関連して需要が増えた。

 24年の見通しとして、景気自体は悪くなく、コロナも落ち着いて経済活動は伸び、需要はプラスになると思う。業務用分野では再開発プロジェクトや工場の設備投資も拡大するため、底堅い需要が見込める。

 住宅用も大きな変動はなく、寒冷地でのエアコン需要は拡大していく。エコキュートも中期的に伸びるため、全体の需要はそう心配していない。

 24年はユーザーにどういうメリットがあるか、という面で省エネやカーボンニュートラルを切り口とした商品提案に力を入れる。

 またユーザーに直接、当社の製品によって省エネ・電気代削減に貢献できるかというメリットをご理解いただけるよう、どうお伝えしていくか工夫も必要だ。

 例えば省エネ性に優れた店舗・オフィス用エアコン「FIVE STAR ZEAS」では、新旧機種の電気代比較ができるアプリ「どこでもパートナー」について、ユーザーへの提案に積極的に活用していただけるよう販売店へさらに普及を広めたい。

 また社内では医療・福祉、物流、学校、工場など、ユーザー業種別の専門提案部隊を編成しており、お客さまからご相談を受ければ一緒になって提案していく。

 家庭用分野ではZEHが当たり前になるなか、うるさらXといった独自商品に加え、27年省エネ基準値をクリアしたエアコンの提案に力を入れたい。

 また22年度省エネ大賞(経済産業大臣賞)を受賞しZEHに最適な除湿機能付き外気処理換気システム「Saravia(サラビア)」の普及を広めるため、お客さまが実機の体感ができる施設を滋賀県の草津工場内と埼玉県草加市の当社配送センター敷地内にある社宅に設けた。施工の仕方も見ていただける。積極的に施設を活用し、スペックイン活動を強化していく。

 また遠隔監視サービスのアシスネットやクラウド型空調コントロールサービスDKコネクトによるIoT化も着実に広がっている。さらに普及を進め、顧客メリットの高い省エネサポートなど運用面での貢献を強めていく。