2024.01.03 【暮らし&ホームソリューション特集】’24展望 エコキュート

中長期で拡大が見込めるエコキュート

省エネニーズなどで需要拡大、中長期的に成長路線

 家庭用ヒートポンプ給湯機「エコキュート」は、カーボンニュートラルの実現に向け、家庭でのエネルギー消費が多い給湯分野の省エネを担う設備として、今後さらなる普及拡大が見込まれる。

 エコキュートは、ヒートポンプ技術により、大気の熱を有効に活用し、高効率にお湯を沸かす給湯機。電気エネルギーだけで沸かす場合と比べて、電気の消費量が約3分の1で済む。

 2001年に商品化されて以降、着実に需要を伸ばしてきた。累計出荷台数は直近で870万台以上となり、1000万台超えも間近とみられる。

 政府目標では30年に累計1590万台の出荷が掲げられており、中期的にも需要拡大が持続する見込みだ。

 近年では電気代高騰を背景とした節電・省エネニーズの高まりや、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー住宅)普及加速、オール電化ユーザーの買い替え需要の顕在化などが需要拡大を後押しする原動力となっている。

 メーカー各社は商品供給を万全にすべく、増産投資を図るメーカーもあり、今後の市場成長に期待が高まっている。

 日本冷凍空調工業会のまとめによると、22年度の出荷台数は前年度比15.7%増の70万台強となり、年間で過去最高の出荷台数を記録した。

 23年度は4~11月で前年同期比15.2%減と、停滞感がある。しかしこれは、コロナ禍で一時商品供給が滞ったために、22年度に販売店が多めの仕入れを行って在庫が増えたことによる調整局面とされる。

 したがって、在庫調整が進めば成長に転じ、中長期的には右肩上がりで推移する見通しだ。

 各社の中には、今後年間80万~90万台ペースになるとの見方もあり、旺盛な需要が見込めそうだ。

 エコキュート市場が基本的に成長路線を歩むと見られるのは、短期的には電気代高騰が続く中で高効率の給湯機であることや、卒FITユーザーの増加が挙げられる。

 中でも卒FITユーザーでは、売電価格が減って売電メリットがなくなるため、電力の自家消費ニーズが高まっている。

 エコキュートは、高効率な蓄熱機器として太陽光発電の余剰電力を有効に活用して、お湯を沸かすことができる。

 このため、エコキュート各社は、太陽光発電を活用した沸き上げに対応できる機能を搭載し、市場のニーズに応えている。

 また商品戦略の面では、給湯圧を高めて快適なシャワーを実現しているほか、配管洗浄といった清潔性の強化など、幅広い面で使い勝手の向上に力を入れている。

 近年エコキュートの特徴として話題となるのが、もしもの時の生活用水確保だ。耐震性強化と合わせ、タンクからの給水のしやすさなどに各社は工夫を凝らし、レジリエンス機器としての訴求にも注力している。