2024.01.10 【電子部品総合特集】部品メーカートップに聞く 2024年の経営戦略 バイコー 堂園雄羽代表取締役社長
堂園 社長
自動車向け量産を控え事業拡大
新4事業部門体制(①コンピューティング&コミュニケーション②オートモーティブ③インダストリアル④航空宇宙・防衛)が本格的に動き出し、2023年度(23年1~12月)は好調に売り上げが推移した。
今後は開発を進めてきた自動車向け製品の量産も控えており、ビジネスは拡大する見込みだ。
当社は米マサチューセッツ州に本社を置く、電源コンポーネントの専業メーカー。独自の技術力を生かした電源の開発・生産・販売を行っており、データセンターやHPC、産業機器、自動車、鉄道、通信、航空宇宙・防衛など、幅広い市場に製品を供給している。
数百Wクラスからそれ以上の大電力出力タイプをメインに、幅広い製品ラインアップをそろえている。例えば、EV向けの400Vや800Vの高電圧を48Vや12Vなどに降圧する絶縁型コンバーターや、48Vなどの中間電圧から別の電圧に変換する絶縁型・非絶縁型コンバーターなど、多くの用途に対応できる。
23年度は生成AIブームもあり、CPU・GPU周辺の電源の需要が拡大。日本法人では半導体製造装置やテスター、工場内搬送の自動化に関わるAGV向け含めて幅広い需要に応えてきた。
24年度は積極的な新製品投入を計画している。現在当社がそろえる電源モジュールは第4世代製品。24年度には第5世代の低電圧・大電流向け電源モジュール製品を投入していく。第5世代製品はさらなる薄さと高電力密度を実現する。
24年度は社内体制の強化にも取り組む。具体的には「カスタマー・セントリシティ」と「オペレーショナル・エクセレンス」の二つの施策を強化する。
カスタマー・セントリシティは、技術を軸とした経営の歴史を生かしつつ、さらに市場の要求と顧客のニーズを取り入れることで新製品開発を強化する活動である。
オペレーショナル・エクセレンスは、昨年から始めている意識改革。より高い価値や品質、供給面でのサービスの向上を目指す取り組みだ。全社員を対象にグローバルで取り組んできた。継続して24年もこれらの施策に取り組んでいく。
床面積を45%拡張した生産工場は、23年末にフル稼働をスタートした。
生産キャパシティーは10倍に拡大し、外部に委託していた工程を内製化することにより、品質改善と顧客への迅速な製品供給につなげる。
業務効率化を実現する新しい社内システムの導入も予定しており、24年度の稼働開始を計画している。