2024.01.10 【電子部品総合特集】部品メーカートップに聞く 2024年の経営戦略 ホシデン 古橋健士社長
古橋 社長
成長市場、新規市場の拡大図る
2023年7月31日に公表した23年3月期統合報告書で、当社として初めて中期経営計画(23~25年度)を開示した。主力のアミューズメント向け売り上げの中期経営計画作成が顧客の需要に大きく左右され、非常に難しいため社内では経営計画を作成しているものの外部への開示は控えてきた。しかし、情報開示の要望に応えアミューズメント以外の分野で注力する輸送機器と医療・健康機器、IoT/IoE機器の市場で主な開発部品も含め3年間の計画を開示することにした。
アミューズメント向けを除く25年度の売上高22年度比28.5%増、約257億円増の1160億円、営業利益22年度比約30億円増を目標に掲げた。ホシデングループで多分野にわたり培ってきた技術を生かし、横展開で広げていくのが成長戦略の基本方針だ。輸送機器向け売上高を22年度の286億円から25年度380億円に、その他市場向け売上高を177億円から220億円に、移動体通信向け売上高を439億円から460億円に増やし、有望市場を見定め新規事業の売上高をほぼ0から100億円に引き上げる。
中期経営計画初年度の23年度は、アミューズメント向けが顧客の生産台数計画が前年度より減少し、スマートフォンやパソコン、家電向けや自動車向けも良くなく、22年度比減収減益を見込んでいる。24年度は全般的には23年度より良くなると思うが、アミューズメント向けは23年度よりどんと増えることはないとみている。
自動車向けは伸び、スマホをはじめとする電子機器向けもボトムアウトすると予想している。医療・ヘルスケアやオーディオなどのその他市場向けは、この6年で売上高が100億円から180億円になった。主力のアミューズメントの減収を補えるものはないが、自動車向け、その他市場向けを中心とした成長市場、新規市場の拡大を図る。
モノづくりは、最適地生産と地産地消をベースにベトナム工場を増強中だ。約4500人でアミューズメントの受託生産を中心に、スマホ向け機構部品などを生産しているが、今後いろいろなものを生産する。医療機器の組み立てや自動車向け機構部品、音響部品を生産しているマレーシア工場も同様に増強する。21年度統合報告書から掲げた企業理念を実践していく。