2024.01.10 【電子部品総合特集】部品メーカートップに聞く 2024年の経営戦略 オータックス 富田周敬社長

富田 社長

新工場完成、タイに主軸を移す

 最近のビジネス状況は、当社は海外生産が大半であるため、国内顧客向けの販売では円安の悪影響を受けている。受注についても、2023年の4~6月ごろまでは比較的落ち着いていたが、7~9月は厳しい状況だった。流通、当社、顧客のそれぞれが在庫を多く持っている状況となっているため、リピートオーダーがなかなか入ってこない。やはり中国市場の影響が大きいため、この踊り場状況がいつまで続くのかを注視していく。

 タイ第2工場が、23年8月末に完成した。第2工場の建屋面積は2階建てで約7000平方メートル。既存の第1工場建屋と合わせたタイ工場の建屋面積はトータルで1万平方メートルに拡張された。タイではさらに、第3工場建設のための用地の確保も進めている。タイ工場の敷地面積は、第1工場・第2工場を合わせて約1万3500平方メートルだが、第3工場の敷地は約1万1000平方メートルを予定している。

 アルミ加工事業は、中国のコンシューマー市場の低迷で家電製品向けアルミ加工ビジネスが厳しい状況であるため、商業用テレビや教育用テレビなど非コンシューマー系分野の開拓に注力している。

 24年度に向けた経営戦略は、タイ第2工場が完成したため、予定通り、中国からタイに主軸を移していく。また、自動化技術が進展しているため、円安対策も含め、日本国内で一部生産を行うことも検討していく。攻めの経営スタイルは今後も変更しない。他社との連携も考えながら、事業展開を図っていく。

 富士通コンポーネントから事業を譲り受けたコネクター事業についても、本格的に生産が立ち上がり、売り上げ・利益に貢献。業界再編が進行している中、今後もM&Aなどを検討していく。

 21年度に始まった現中期経営計画は、当初は23年度(24年3月期)を最終年度としていたが、1年延長して24年度を最終年度とした。次期中期計画は25年度からスタートする。

 当社の連結売上高は、22年度に過去最高となった。23年度は減収の見込みだが、年間100億円以上の売り上げはキープできる見通し。24年度も100億円以上の売り上げを確保したい。数年後には、電子部品事業とアルミ加工事業の売り上げをそれぞれ100億円規模に拡大し、トータルで200億円規模にしていきたいと考えている。