2024.01.10 【電子部品総合特集】部品メーカートップに聞く 2024年の経営戦略 日本航空電子工業 村木正行社長

村木 社長

自動車と産機で生産効率を向上

 2024年の展望で気になるのは産機系の受注復調のタイミング。23年は厳しい状況が続き、市況回復時期も後ズレ傾向となっている。当社としては、自動車向け売り上げを伸ばそうとしているが、EV(電気自動車)化が進む中で自動車メーカー同士のプレーヤーチェンジが起きている。足元ではADAS関連がけん引し受注は好調だが、EV化に伴う変化をしっかり見極めていく必要がある。

 携帯機器向けは全社売り上げに占める比率が低下傾向だが、大きな柱であるため、再度、ミドルレンジも含めた採用の拡大に力を注ぐ。同時に、非スマートフォン分野での拡大も目指す。航機事業は防衛関連での需要が増加しているため、増産体制をとり売り上げ・収益拡大に結びつけていく。

 24年に向けた経営戦略は、会社全体ではコネクター事業部への業績依存度が高くなっているため、ほかの2事業部の売り上げ・利益の比率を上げていく。

 コネクター事業は海外での拡販体制を強化する。日本側の組織体制と現地側の拡販体制を強化し、日本からの出向、出張などのアプローチも進める。地域ごとに顧客ニーズが異なるため、エンジニアを顧客の近場に配置し迅速な展開を図る。

 最近はさまざまな企業との協業での新製品開発を強化している。引き続き、こうした取り組みに注力し、件数を増やしていきたい。

 生産体制は、自動車関係などの新しい製品を国内で生産することで、国内生産を強化したい。海外では、BCP、地政学対応などを含めて生産マップの見直しを行い、新拠点の必要性なども含めて検討していく。省人化も重要テーマ。自動車向けや多品種少量が特徴の産機向けで生産効率を上げていく。

 航機事業の防衛関係向け生産は、昭島事業所(東京都昭島市)と信州航空電子(長野県松川町)で行っているが、建屋の改築や改装、クリーンルーム設置など進めており、信州航空電子では23年秋にクリーンルーム拡張が完了した。

 当社は事業ポートフォリオを変革する時期を迎えており、これをしっかり推進するのが私の責務。外部環境変化に左右されることなく、やるべきことに取り組む。