2024.01.10 【電子部品総合特集】部品メーカートップに聞く 2024年の経営戦略 北陸電気工業 多田守男社長

多田 社長

海外中心に大型の設備投資実行

 2024年の展望は自動車はマーケットの購買意欲も高く、急激ではなくても右肩上がりの推移を予測する。EV(電気自動車)は少し成長に陰りがあるが、自動車全体では成長が続くとみている。一般コンシューマーは、スマートフォン市場がようやく前年同月比でプラスに転じ、24年の春節明けから右肩上がりの動きになると考える。

 心配なのは為替。地政学や日本の政治状況などさまざまな課題があり、今後は日本の金融政策変更の動きも見えてくると思うため、やはり円高方向に進むと思う。24年の年明け早々から新年度の事業計画を判断するが、総論として24年は「曇りのち晴れ」のイメージになるとみている。

 24年度に向けた経営戦略は、エレクトロニクス業界が活況を帯びてくることが予想される中で、中計での戦略をベースに、世の中の変化に対しスピード感を持って対応していくことを重視する。

 重要なのは、部品需要が上向いてくるタイミングにしっかり乗ること。24年前半は、マーケットの復活に向けた情報収集にパワーをかける。市場が右肩上がりに転ずるタイミングを先行して入手し、それをわれわれのアクションにフィードバックし投資につなげる。

 24年度の設備投資額は23年度比で3割程度増やしたい。特に下期は、海外中心に大型の設備投資を実行したいと考えている。

 地域別では、中国生産は現状を維持し、ASEANでの生産を拡大する。既に工場があるタイとマレーシアに加え、ベトナムやインドネシアでの体制づくりを考えていく。その一環で、今年度はインドネシア企業と製造委託契約を結んだ。生産するのは、オートモーティブ関連製品。今後、委託先に技術指導を行い、24年夏からの生産開始を予定している。ベトナムでは、優秀な労働力を有利な条件で確保できるかをポイントに候補地を探し、24年中に拠点を開設したい。タイ工場も、車載での顧客ニーズに応えるため、生産能力を3割程度引き上げたい。「コト売りビジネス」も23年度になり、ようやく数字として計上できるようになってきた。

 24年度は中計最終年度となるが、中計目標の24年度売り上げ460億円は達成可能と考えている。長期目標として、創業100周年の44年度に売り上げ1000億円を目指している。