2024.01.10 【電子部品総合特集】部品メーカートップに聞く 2024年の経営戦略 アルプスアルパイン 泉英男代表取締役社長CEO兼技術担当

泉 社長

事業ポートフォリオ変革を推進

 私に与えられた重要なミッションは「事業ポートフォリオ変革」のかじ取り。景気環境に左右されてブレることなく、事業ポートフォリオと製品の変革を推進する。そして注力領域と非注力領域を明確化し、不採算製品について、撤退や生産品目の集約、生産拠点集約を進める。

 一方で、旧2社(旧アルプス電気、旧アルパイン)の統合を通じ、車載分野ではデジタルキャビンソリューションの製品ポートフォリオ変革に努めてきたが、これらの製品群の受注が今年度に入り、2026年度や27年度などの車種向けに大きく確定するようになってきた。電子部品事業でも、コンポーネント事業やセンサ・コミュニケーション事業で、新製品の将来的な受注が大きく決まってきている。技術的・事業的な部分でかじを切っているところに、ようやく結果が追いついてきた。来年度へ、さらに加速させたい。

 統合新会社「アルプスアルパイン」発足から最初の数年は、互いの製品群を合わせることで、強い領域を広げていくという戦略が中心だったが、現在は電子部品でのコア技術を最大限活用し、付加価値率を上げていくための製品を開発する、という方向が明確化してきている。

 アプリケーション別戦略は、コンシューマー市場では、スマートフォンでできることが増えた結果、新たなデジタル家電の創造が難しくなってきている。このため、われわれのコア技術を活用し、産業機器や環境機器への軸足を強化していく。

 当社は21年にIDECと合弁契約を締結し、23年に合弁会社の第1弾製品を発表したが、合弁を通じ、産業機器市場で求められる特性などをいろいろ学ぶことができた。このため、専門組織として「事業変革推進室」を立ち上げた。24年は、こうした新市場に対してわれわれのコア技術を生かしていくための土台づくりをさらに推し進めていく。

 19年の米クアルコム社との提携を皮切りに、デジタルキャビンソリューションの実現に向けてさまざまな技術を有する企業とアライアンスを進めてきたが、最後のピースとして残っていた「サウンド領域」分野での開発を加速するため、23年にDSP Concepts社との協力体制を構築した。この提携で、デジタルキャビンソリューション実現に向けた布陣が固まったと考えている。

 今後もいろいろな企業とパートナーシップを構築していきたい。