2024.01.09 【製造技術総合特集】製造装置 主要各社の24年戦略 東英ホールディングス

藤原 代表取締役

シームレスなEMS事業を展開
マレーシアでの生産を増強

 東英ホールディングス(福島県石川町)は、開発から試作、量産まで受託するシームレスなEMS事業を展開している。東英ホールディングスの傘下に受託設計部門のT&Hデザイン(同)、ファイナンス、購買、物流を担う香港東英電子工業(香港)、受託製造の事業拠点、東莞東英電子工業(中国・広東省東莞市)を擁しているほか、マレーシアにも生産を行う協力企業を設けている。

 T&HデザインはPCBなど回路ハード設計、モーター駆動機構、ケースなどの機構設計、および組み込みソフト開発などを担っている。東莞東英電子工業は精密プレス加工、樹脂成型など部品加工事業や、SMT5ラインによる基板実装、最終組み立てまでの量産体制を整備。マレーシアの協力企業は基板実装から完成品までの生産活動を行っている。中国から東南アジアへの生産シフトを望む受託先が増えていることから、今後マレーシアでの生産を増強する。

 現在の生産品目は音響機材、美容機器、アミューズメント機器、金融機器、ウエアラブルデバイス、IoT生体デバイスなど幅広く、受託先からは小回りの利くEMSと高く評価されている。

 同社は部品・部材調達に関して充実したサプライチェーンを有している。

 藤原歳樹代表取締役は「当社受託製造事業の根幹が部材調達力であり、今後ますます重要になる。1989年に中国に進出し、金型の調達も含めて華南地区や香港の部材・部品のサプライチェーンを30年以上かけて構築してきた。華南地区はいまだ部品調達の強力なインフラが整っており、これに日本、マレーシアも加えたサプライチェーンを活用しながら生産活動を拡大したい」と話す。

 21、22年は半導体・電子部品不足の影響を受けたが、22年後半から解消されてきたことで23年は売り上げも大幅に伸びた。

 藤原代表取締役は「24年は経済の先行き不透明感から慎重に予測している。今後は開発力をさらに強化し、さまざまな分野の設計受託、多品種少量生産の強化に取り組み、開発型EMS企業としてドローンなど自社製品の開発にも注力する」と方向性を示した。