2024.01.09 【製造技術総合特集】製造装置 主要各社の24年戦略 THK

星野 常務

モジュール製品の拡充を進める
顧客の要望に合ったロボを構築

 THKは、市場の要求が高まる高精度、高速・高剛性に対応したLMガイドやボールねじ、クロスローラーリングなど機械要素部品を幅広く提供するとともに、産業用ロボットや産業用自動化設備に向けモジュール製品の拡充を進めている。

 産業機器統括本部IMT事業部事業部長の星野京延常務執行役員は「自動化や省人化による産業用ロボットの普及に伴い、製造現場からは設置スペース、可搬重量・アーム長、動作速度・範囲、回転部の軸数などの要望が寄せられ、ますます多様化している。既成ロボットのオーバースペックを指摘する声も少なくない。顧客の製造現場に合わせたカスタム仕様のニーズにいかにして応えるかが重要になってきた」と語る。

 同社はこうしたカスタム仕様の先駆けとして電動アクチュエーターを拡充し「コンパクト」「クリーン」「プレス」など多様なシリーズをそろえているが、アクチュエーター技術をさらに進化させたのが産業用ロボットなどに向けたモジュール化でもある。

 その一環でロボットの関節機構に適した回転モジュール「RMR」の提供を始めた。剛性に優れた同社のクロスローラーリングを回転機構の主軸受とし減速機、モーター、エンコーダー、ブレーキなどの要素を一体化したことで、顧客が幅広い設備に適した顧客独自のロボット設計が可能になる。

 ワーク投入など単純作業の自動化に最適な円筒座標型モジュール「MLS」の受注も開始した。可動部の基本構造は伸縮/昇降/旋回の単純機構を組み合わせたシンプルな構造で、普段から使い慣れているPLCで操作が可能。ティーチングの工数も削減できる。

 星野常務執行役員は「産業用ロボットのキーコンポーネントをモジュールで提供し、制御機器まで含む装置の提案をTHKグループで幅広く対応。ロボットSIヤーとも連携しながら既成のロボットでは対応が難しい顧客の要望に合ったロボットの構築をお手伝いしたい」と話す。

 星野常務執行役員は「24年は車も回復するとみている。モジュール化を加速し、当社独自のソリューションで製造業の自動化に貢献したい」と述べている。