2024.01.12 【放送/機器総合特集】放送機器各社 24年の戦略 日立国際電気 伊藤明男副社長執行役員

伊藤 副社長

5G対応通信プラットフォームを提案、最適な無線網を提供

 昨年はこれまで培ってきた5Gなどの無線技術に加え、AI技術を活用し、次世代社会インフラづくりに取り組んできた。

 2020年にローカル5Gの活用を推進する場として「5G協創ラボ」を開設し、パートナー企業とさまざまな実証を進めている。

 ローカル5G製品のラインアップを拡充しており、昨年は多様なニーズに対応するため、扱いやすく、高信頼のネットワークをワンストップで提供するソリューション「Wireless Area Connect 5G対応通信プラットフォーム(5GPF)」を提案した。通信サーバー、管理サーバー、マルチ無線モデム、ローカル5Gなど無線ネットワークインフラで構成される。

 5GPFは①信頼性を高める②見やすくする③使いやすくする、という三つの機能を提供する。これらの機能を活用することで、IoT業務アプリケーションによるデータ伝送に対して、無線ネットワークの「通信高信頼化」「運用管理(設備監視)」「アプリケーション連携(API連携)」が可能だ。

 5GPFとこれまで当社が培ってきた無線通信技術のノウハウ、高信頼・高品質なモノづくり、システム構築力によって顧客の業務アプリケーションに対して最適な無線ネットワークを提供する。

 ローカル5Gと通信キャリアの5Gに同時につながるマルチ接続により、片方が切れても通信を維持することができる。今までの無線の信頼性という課題に対して、切れない無線環境を目指しており、他社との差別化にもつながる。Wi-Fiと5G、4Gと5Gといった組み合わせも可能で、切れないIoTシステムへの応用が期待される。

 セキュリティー強化の観点からは「AIエッジコントローラ」を提案している。独自技術のクレンジング機能とAI技術で人物を高精度に検知する。クラウドを介することなく、現場での即時判定・即時制御が可能となり、好評を得ている。既存のカメラに付けて使用できるので、新たな投資が小規模で済むのもメリットだ。

 放送分野では山間部などに置かれている中継設備の監視などに提案していて、省人化・省力化につながる。人物以外にも反応する誤検出の課題に対して、人物の検知精度を大幅に向上させ、セキュリティーの高度化を実現する。

 放送分野においては、地上デジタル放送の更新時期もあり、新型サテライト送信装置が堅調に推移。FPU装置も大口の受注を獲得している。

 近年では津波などの災害の情報伝達にドローンが活用されている。現在、ドローンに搭載可能な小型FPUを開発中だ。

 海外では、ブラジルのデジタル化の進展に伴い送信機の受注が好調。子会社の日立国際電気Linearが進めている。

 カメラに関しては、フル4Kカメラ「SK-UHD7000」がグローバルで高く評価され、販売が順調だ。BOX型カメラのニーズに対しては、UHD7000の機能を継承したBOX型フル4Kカメラを提案していく。静音性に特徴があり、静かなコンサート会場などでの撮影に適している。

 また、IP化に対応した各種カメラを販売する予定だ。

 放送業界のみならず、さまざまな分野において、当社の強みである無線と映像の技術の高度化、そして、これらを組み合わせることによってシステム技術の可能性に挑戦し、お客さまのDXに貢献する。