2024.01.16 【半導体/エレクトロニクス商社特集】エレクトロ二クス商社 24年の経営戦略 明光電子 根本敬継社長

根本 社長

「ニオイセンサー」来春から量産

 明光電子の2023年8月期は、売上高104・5億円と2年連続で過去最高を記録した。

 好調だった半導体市況に加え、エネルギー価格を含む原材料費の高騰を背景に製品単価の上昇が上振れ要因の一つだが、根本敬継社長は「前期に比べ特需的な要素は少なくなった」と振り返る。

 今期の売上高は前年比20~30%増と好調な出足。主要顧客の半導体製造装置関連は濃淡あるものの、それ以外の装置メーカーも含め堅調な見通しだ。

 業績は好調だが、利益の確保は売上高以上に重視する。個々の従業員の生産性を上げる取り組みに注力し、受発注や在庫管理の新しい基幹システムは昨年稼働開始。現場の声から既存システムの改善点を洗い出してバージョンアップした結果、書式統一による効率化や入力ミスの低減で商談やその準備に費やせる時間が増加し、「営業職員の中長期的な売り上げ目標が見通せるようになった」と効用を強調する。

 展示会の出展で新商材の紹介に力を入れることで、新規開拓も実績を重ねてきた。

 開発を進めてきた「CMOS型ニオイセンサー」は来春から量産を開始予定。小型のセンサーチップニオイ物質の吸着膜を実装し、出力電圧の変化として検知する。下水やトイレ、冷蔵庫の異臭検知のほかモーター劣化の予兆検知など産業用途でも適用が期待できる。

 電力センサーモジュールとIoTゲートウェイを組み合わせた「電力の見える化 お試しパック」は導入検討に当たり、2週間無料でセットを貸し出す初めての試みだ。電気代が高騰する中、非接触、工事不要で電力を把握するニーズの高まりに応えた。申し込みのハードルを下げたことで引き合いが多く来ているとし、既存商材の組み合わせによるソリューション提案にも努めたい考えだ。

 ルネサスエレクトロニクスの新しい32ビットマイコンは評価用ボードの出荷を12月に開始。高速サンプリングが特長でロボットのアームに力覚センサーとして搭載するなどの用途を想定し今期の目玉商材の一つだ。

 24年は既存の数字を伸ばすのを基本としつつ、引き続き新規ユーザーの開拓にも力を入れる。