2024.01.16 【半導体/エレクトロニクス商社特集】半導体/エレクトロニクス商社 24年の経営戦略 伯東 阿部良二社長

阿部 社長

社内発表会など行い機運の醸成へ

 伯東はエレクトロニクス専門商社と化学薬品メーカーの二つの顔を持つ。半導体・電子部品、電子・電気機器(システム)、工業薬品の3事業が主力。2024年3月期第2四半期は、主要取引先の商流変更の影響などで前年同期比では減収減益となったが、電子・電気機器の伸長などから、売上高や営業・経常利益、純利益は当初計画を上回った。阿部良二社長は「車載や産機分野の設備投資の動きは堅調。為替変動の要素も大きい。半導体・電子部品の需給全体では、まだら模様の面はあるが、全体的に緩和されてきた」とみる。

 半導体・電子部品事業は車載用ICなどが堅調。電子・電気機器事業は半導体関連の設備投資の需要継続で、真空機器やPCB関連の大型案件が計画より前倒しで進捗(しんちょく)。需要取り込みに注力する。工業薬品事業では石油・石化向けと紙・パルプ向け工業薬品は堅調も化粧品原料は需要低迷という。

 23年7月には、半導体関連投資の相次ぐ熊本にサービス拠点を開設。半導体製造関連機器の販売とサポート体制を充実させ、一層の事業拡大につなげる。

 24年度までを計画期間とした中期経営計画で事業構造転換を掲げ、各事業でソリューションビジネス強化に重点を置く。部門横断プロジェクトチームを中心に事業を超えたシナジーも図ってきた。

 半導体・電子部品事業と工業薬品事業のコラボであるAI活用ソリューションなど、横串の展開を進めてきた。こうしたアイデアについては、社内発表会を行うなどして機運の醸成に取り組む。

 マイコンやレーザーダイオード、バッテリー監視ICなどを得意とするヌヴォトンテクノロジージャパンとの代理店契約での展開を強化。EVや産機向け、装置、素材など商材を今後も拡充する。

 中国市場では商品構成を変化させる中で収益力を強化。海外事業では、アジアの組織を中華圏統括(中国、香港、深圳、台湾)とASEAN圏統括(シンガポール、タイ、マレーシア)に大別し、域内一気通貫の営業体制を整備。地域ごとの戦略を構築し、地域密着の事業を強化している。