"サービスを売る"原点を忘れず

　丸文はデバイス、システム、ソリューションの3事業で顧客の需要に直結する商材の提供に注力する。今期は民生と自動車、産機向け半導体が好調で昨年10月に通期売上高予想を上方修正した。

　デバイス事業は高付加価値商品の開発と、製品ミックスを通じて業容の維持拡大を図る。EV化やDXを背景に顧客の製品開発を支援。内外で3000社超と取引があり、多様な商材の組み合わせでソリューションを提供できるのが強み。飯野亨社長は「豊富なラインカードを武器に、開発・量産の各フェーズでサポートするのが当社のミッション」と強調する。

　システム事業はレーザー加工機など既存事業の持続的成長と新市場での収益基盤の拡大を目指し、同時に国内関係会社と連携したグループシナジー効果の強化も目指す。

　エンジニアリング会社のフォーサイトテクノは、ASEAN地域にレーザー機器やX線解析装置の販売を展開する際に技術サポートで協力。医用機器が主商材の丸文通商は昨年、静岡・滋賀県に進出して事業を拡大、分析装置を扱う丸文ウエストと双方で社外取締役が兼任し連携して事業戦略を立案するなど、連結会社間の協調でグループシナジー効果の最大化を重要な戦略活動とする。

　昨年度新設したソリューション事業は、成長市場に向けて革新的な技術や商材の創出を加速させる。

　スマートモビリティーを実現する「GNSSシミュレーター」は、準天頂衛星システムの追加配置で画像精度がさらに向上。今後の利活用の増加に期待する。

　ヒューマノイドAIロボットは、警備業界での採用も図り実証実験を実施。遠隔医療・介護領域の商材も充実化させる考えだ。

　空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム「Cota」では2.4ギガ、5.7ギガヘルツ帯の評価キットを提供し顧客の開発を支援する。

　今年は創業180年。部材調達が難しい時期も、常に顧客の立場で情報や代替提案などの対応を図る社員の姿勢が、取引先から評価を得たという。飯野社長は「社訓の一つ"サービスを売る"という原点を忘れず、顧客のものづくりに貢献したい」と気持ちを新たにする。