2024.01.16 【半導体/エレクトロニクス商社特集】半導体/エレクトロニクス商社 24年の経営戦略 トレックス・セミコンダクター 芝宮孝司代表取締役社長
芝宮 社長
開発力強化を引き続き推進
積極的に新製品投入
トレックス・セミコンダクターは、得意とする小型・省電力・低ノイズ技術を生かし、付加価値の高い電源ICを提供している。昨年来取り組んできた開発力の強化を推進し、さらなる成長を目指す。
2023年は在庫過多の影響もあり、半導体市場全体が停滞。設備投資の抑制なども続き、同社が主力とする産業機器分野の需要も伸び悩んだ。
そうした中でも、同社は積極的な事業計画にまい進する。25年度(26年3月期)に連結売上高370億円、営業利益55億円、28年度に連結売上高450億円、営業利益80億円を目標とする拡大中期業績目標を発表し、積極的な活動を展開している。
芝宮孝司代表取締役社長は「23年は〝開発ファースト〟を掲げ、製品開発に注力してきた。複数の開発を並行して進めるシステムを構築するなど、開発しやすい環境も整えた。24年もこれまで取り組んできたことを継続し、積極的な新製品投入を進めていく」と話す。
パワーデバイス事業では、子会社フェニテックセミコンダクターとの連携も加速する。フェニテックが開発したSiCを用い、850V/10Aのショットキーバリアダイオードのサンプル出荷も開始。MOSFETの開発も進めており、24年度中のサンプル出荷を目指す。
現在、トレックスではパワー半導体デバイス事業推進部を新設し、事業拡大へ弾みをつける。
芝宮社長は「電源ICで培ったパッケージ技術とパワーデバイス技術を組み合わせることで、ユニークな製品を提供できる。半導体専業メーカーとしてのニュートラルな立場で、顧客の求める製品開発を実現する」と話す。
さらなる成長に向け、グローバルでの販売体制強化にも取り組む。
欧米中に展開する各拠点で、現地チップセットメーカーへのアプローチを加速。特に欧米ではスタートアップのチップセットメーカーとの協業も含め、積極的な提案活動を行いソリューション力を高める。
芝宮社長は「24年度は在庫調整も終わり、夏以降には需要も戻ると見込む。生成AIの普及によるデータセンターや通信分野の需要増に加え、車載分野の需要も取り込み、持続的な成長につなげる」と話す。