2024.01.18 【情報通信総合特集】ソリューションプロバイダー 24年の見通し・経営戦略 富士通ラーニングメディア 青山昌裕社長

デジタル人材・スキル向上
キャリアオーナーシップ支援

 世の中のDXへの投資は、堅調に拡大推移する中、生成AIの技術的進歩は目覚ましいものがある。企業にとってデジタル関連の人材・スキルはますます重要性を増し、ビジネスパーソンのキャリア形成に対する考え方も多様化する中、個人と企業・組織の成長を支援することで、提供価値を高めていく。

 2023年度(24年3月期)上期は企業の人材採用も増加したことを受け、当社の新入社員研修支援のビジネスも前年を上回った。

 DX人材育成・リスキリングのニーズも根強く、23年8月改訂のデジタルスキル標準に準拠したDX関連コースをさらに拡充する。

 生成AI関連についてもプロンプトエンジニアリング(AIからの回答を最適に導く手法)のコースを新たに開発するなど、AIの業務利用ニーズに応えている。

 個人のキャリアを自律的に形成していく「キャリアオーナーシップ」の意識も浸透し、昨年12月に開催した「Fujitsu人材育成セミナー」では富士通グループにおける取り組みを富士通CHRO(最高人事責任者)の平松浩樹が講演。約2500人の申し込みがあり、関心の高さを実感した。

 これを受け、21年に出版関連事業を統合した富士通エフ・オー・エムのノウハウを生かし、関連書籍「進化するキャリアオーナーシップ」を24年2月に発売を予定。書籍の出版と、研修プログラムとの有機的なシナジーを狙った好循環を、今後も増やしていく。

 キャリア形成の一環で、所属企業の枠組みを越えた「越境体験」の場も提供している。

 これはさまざまな社会課題に取り組むNPO法人を中心とした団体と、サステナビリティーを実現できる人材を育成したい企業とをマッチングし、実際のプロジェクトに参画できるもの。越境で得た気付きや学びを所属企業に持ち帰ることで、企業のブランド価値向上に寄与する狙いがあり、今年度は16団体が参加、規模は前年の3倍となった。

 教育・研修分野におけるAI活用についても推進しており、AIの研究開発で実績のある先進企業と24年1月に業務提携した。対話型AIを活用して受講者のサポートを行うなど、実証実験を進めていく。

 企業の力は人。個人の成長を支援することで企業も成長する。自律的にキャリアを形成していく個人と、それを信頼し持続的な成長を目指す企業・組織、そのいずれにも当社は寄り添いながら、サポートを続けていきたい。