2024.01.18 【情報通信総合特集】ソリューションプロバイダー 24年の見通し・経営戦略 アイティフォー 佐藤恒徳社長

ブロックチェーン事業加速
自販機決済など地方DX推進

 コロナ禍の収束により、業種を問わずデジタルトランスフォーメーション(DX)の需要は堅調で、まだまだ大きく伸ばせる。

 特に、古いシステムが残るネットワークの更新など通信システム事業が広がっている。社会インフラを持つ電力会社を中心に立ち遅れている企業も多く、高速大容量化のニーズは高い。来年度以降、水道やガス事業者にも訴求していきたい。

 1台でマルチ決済ができる決済クラウドサービス「アイリッツペイ」が中心の決済システムは、事業の柱として成長している。千葉銀行や静岡銀行など8金融機関に採用されており、3年後には20行まで拡大させたい。

 強みである地方銀行とのネットワークを生かし、地域に根付いた百貨店の決済システムも支援してきたい。

 デジタル社会の鍵を握るブロックチェーン(分散型台帳)では、「デジタル貸金庫」の実証実験を熊本県庁で始める。「貸金庫」と「終活ノート」を組み合わせたサービスで、生前整理事項やデータ受取人などをスマートフォンから登録できる仕組み。ブロックチェーンで保管するためデータ改ざんを防げるのが特長で、インターネットバンキングやスマホ決済に応用して事業化を目指している。既に複数の金融機関から引き合いがきている。

 遺言だけでなく、さまざまな情報のデジタル貸金庫として若者にも活用してもらえるサービスを目指し研究開発チームを立ち上げて推進していく。

 食品系の自動販売機の無人決済システムの導入も加速させている。クレジットカードをかざすとドアが開き、カメラと重量センサーでどの商品を購入したかを判別して決済する仕組み。テナントが減少している地方空港や、地方のスーパーの夜間対応などで利用してもらえば、食品ロスの低減にもつながると考えている。

 自治体向け事業では教育分野のBPO(業務アウトソーシング)に参入する。教員の長時間労働が社会課題となる中、当社のコールセンターで苦情や相談を受け付けることで負担軽減を図り、次世代を担う子どもたちへの教育の質向上につなげたいと考えている。来年度にも事業化できる見通しだ。

 2023年度を最終年度とする中期経営計画は、売上高210億円、営業利益32億円の目標を達成できる見通しで90点と評価している。来年度からの次期中計には地方DXの視点を盛り込み、10年先の将来像を見据えて3年後に何をすべきか考えるバックキャスト型で策定していきたい。