2024.01.18 【情報通信総合特集】ソリューションプロバイダー 24年の見通し・経営戦略 電通総研 名和亮一社長

社名変更で変革をリード
「事業領域の拡張」など推進

 2023年のICT市場は企業のデジタル化投資意欲は強く、引合いも堅調に推移した。

 1月1日付で電通国際情報サービスから「電通総研」へ社名変更、コンサルティング子会社2社の当社への統合、dentsu Japan内組織「電通総研」機能を当社へ移管した。長期経営ビジョン「Vision 2030」で、30年のありたい姿を「社会、企業、生活者からの期待に応える存在」と定義。社会や企業の変革をリードする多様な人材、多彩なテクノロジー、多種のソリューションを持った〝X Innovator〟として、30年までに売上高3000億円の企業を目指している。その実現には、SIerの枠を超えて、社会・企業・生活者から選ばれる企業へのリブランディングとリポジショニングが必要だ。

 当社の23年12月期の第3四半期までの業績は、売上高前年同期比112.2%、営業利益同109.6%、経常利益同110.7%で推移し、四つのセグメント全てで増収となった。中計の売上目標値に1年前倒しで届く勢いだ。

 Vision 2030では、四つの自己変革を推進している。

 「事業領域の拡張」(拓くチカラ)では、製造業の製品開発支援に関するソリューションの強化・拡大を目指して、パートナー企業との協業を進めている。11月には、オーストリアのAVL社と戦略的業務提携を締結した。15を超える自治体とDX推進に関する協定を締結、また、電通グループ各社との協業も進めている。

 「新しい能力の獲得」(創るチカラ)では、採用部門の体制強化を図り、24年4月の新卒入社人数は、前年比1.5倍となる見込みだ。富士通・デジタルプロセス両社とPLMシステムの提供体制の強化も行っている。

 「収益モデルの革新」(稼ぐチカラ)では、自社製品ビジネスが非常に好調に推移している。

 「経営基盤の刷新」(支えるチカラ)では、当社初の統合報告書「ISID 統合レポート 2023」を発行、当社グループの企業価値向上に向けたさまざまな取り組みについて、財務・非財務両面から広く紹介している。

 24年は、電通総研として新たなブランドを築き、中期経営計画の最終年として2030年に向けた成長への基盤づくりを仕上げていく一年になる。3月には、社長を岩本浩久氏と交代し、経営の世代交代とグループ成長戦略の推進を加速させる。