2024.01.18 【情報通信総合特集】ソリューションプロバイダー 24年の見通し・経営戦略 BIPROGY 平岡昭良社長

DX案件に積極取り組み
アウトソーシングビジネスアセットを拡充へ

 2023年のICT市場は、企業のデジタル化投資意欲も強く、堅調に推移した。デジタルトランスフォーメーション(DX)化は、自社の閉じた仕組みでなく、顧客、取引先などバリューチェーン全体の仕組みを変え、効果も見えやすい。24年のICT市場も、DX投資を背景に堅調に推移する。

 24年3月期は、中期経営計画の最終年度に当たる。上期の業績は、大幅な増収増益となり、売上高(売上収益)が前年同期比11.8%増、調整後営業利益が同21.6%増となり、想定を上回った。通期は計画を上回る見込みで、中計を良い状況で着地できる。

 上期はソリューションに特化したシステムサービスが全ての業種、業界でバランスよく伸長。アウトソーシングも堅調に推移、ユニアデックスもDXに伴うネットワークビジネスが堅調だった。

 中計は売上高を3400億円から3500億円に、アウトソーシング売り上げを1000億円から750億円に修正している。アウトソーシングは、コストコントロールと長期契約のバランスを取るのにまだ時間がかかると見て、その代わりDX案件に積極的に取り組み、将来のアウトソーシングビジネスのアセットを拡充させる。

 当社は、「Vision2030」を策定している。レジリエンス、リジェネラティブ、ゼロエミッションの三つのエリアで、持続的な社会づくりを目指す「デジタルコモンズ」を掲げている。現中計で足掛かりができた。新たな中計で社会実装を加速させ、30年には、社会の共有財デジタルコモンズを提供していく。

 企業は、さまざまな社会課題にミートしたビジネスを考えている。デジタルを軸に、こうした企業の課題に応えたサービスを提供していく。

 新中計の方向性として、企業内DX、バリューチェーン全体のDXに注力、売り上げ、利益を上げていく。また、ビジネスエコシステムにより、社会全体に役立つ新たな仕組みを提供する。さらに、オーガニックな成長に加え、海外展開に注力、M&Aなども堅実に推進していく。

 昨年4月にグループ人財戦略の立案・推進を行う組織として、人的資本マネジメント部を新設、HRプラットフォームを構築し、人財の見える化に取り組んでいる。世の中の変化が激しく、先が読みにくい時代だ。多様性を身に付けた自律型人財を育成する。また、生成AI(人工知能)は倫理観も含め、安心・安全な仕組み作りに取り組んでいきたい。