2024.01.18 【情報通信総合特集】ICTベンダートップに聞く 24年の見通し・経営戦略 アドバンスト・メディア 鈴木 清幸 会長兼社長

AI音声認識で市場リード
領域特化エンジンでDX促進

 人工知能(AI)分野の先駆者として、専門分野の知識をコンピューターに取り込み推論を行う第2次AIの技術を活用し、26年にわたって市場を開拓してきた。

 成果の結集であるAI音声認識技術「アミボイス」をベースにしたアプリやサービスは右肩上がりの成長を続け、音声認識ソフトウエア・クラウドサービス市場でシェアトップの地位を築いている。

 最初に着手した医療分野では電子カルテや読影リポートなど各種医療文書の作成を音声認識で効率化し、自治体向けの議事録作成やコンタクトセンターの文字起こしといったさまざまな分野でのサービス提供につなげた。製造、物流、保険、金融業界向けに、Webサイトやアプリケーションに音声認識機能を実装するサービスなども展開している。

 アミボイスをクラウドで提供するプラットフォームも開設し、当社の領域に特化したAI音声認識エンジンの利用料での収益化も進めている。

 2023年度からの3年間を拡大期と位置付け、売上高100億円、営業利益30億円の達成を目指している。24年度は中間期として、アミボイスプラットフォームで売り上げ規模を拡大させる。

 ベースとなるのがアミボイスエンジンプラットフォーム(AEP)だ。音声認識プロダクトの開発・提供を目指す企業に安価で利用してもらうとともに、開発してきたアプリやサービスをいくつかの目的特化型プラットフォームとして市場展開していく。従来のビジネスにAEPと目的特化型プラットフォームを加え、事業全体の拡大を図りたい。

 日本の喫緊の課題であるDX支援では、二つのAIを使ってセキュリティーを担保した議事録作成から要約までの一貫サービスのほか、キーボードやマウス操作を声で代替・制御する「AIパートナー」を提供する。

 主力のコンタクトセンター向け事業では、声による感情分析を商談や接客などの場に適用して営業担当者の接客能力向上をサポートする「アミボイス接客アシストプラットフォーム」を用意した。

 各企業が展開するWebサイトの情報発信力を向上させるため、サイト来訪者を商談へ誘導するサービスも提供していく。

 26年にわたり目的の領域ごとに特化し蓄積したデータに基づき進化してきた音声認識エンジンこそがわれわれの強み。先駆的に展開してきた実績と目的特化型プラットフォームで、DX促進と、AIによる人の能力向上に本格的に取り組む。