2024.01.18 【情報通信総合特集】ICTベンダートップに聞く 24年の見通し・経営戦略 東芝テック 錦織弘信社長

共創で新たな価値創出
グローバルな顧客基盤など

 当社は「共創による新たな価値の創出」を掲げ、社会課題の解決に貢献するグローバルトップのソリューションパートナーを目指している。

 中期経営計画で、①共創システムのさらなる進化②データを利活用した新たな価値の創出③グローバル総合力の最大活用によるリテール事業の成長④ワークプレイス事業のさらなる収益基盤強化、を重点テーマに取り組んでいる。

 2023年度上期の業績は、売上高2636億円、営業利益59億円でほぼ計画を達成した。通期では、売上高5400億円、営業利益180億円を計画しているが、達成できる見通しだ。

 当社の最大の強みは、グルーバル拠点64社、保守人員(国内約2000人、海外約3000人)、世界ナンバーワンのPOSシェア(約314万台)、国内約5割のPOSシェア、さらに世界で約140万台が稼働するMFP(複合機)などのタッチポイントを持っていることにある。グローバルな顧客基盤とグローバルな営業・保守網とお客さま、ソリューションパートナー、ビジネスパートナーとの共創により、新サービス、新付加価値の創出を行っている。こうした共創により、廃棄ロスの削減、CO₂の削減、人手不足対応など社会課題解決に取り組んでいる。

 これらが評価され、米の有力調査会社のIDCから2年連続でトップランクの評価を獲得した。グローバルリテールプラットフォーム「ELERA(エレラ)」を推進しているが、米子会社が米・ダラスに開発拠点を開設、25年には現状の約5倍の数百人規模の開発体制を構築する。日米でのシームレスな開発体制を強化、マイクロサービスを含むクラウド関連の開発などに取り組んでいく。

 電子レシートサービス「スマートレシート」は、会員数が150万人を突破した。スマートレシートは、廃棄ロスの削減、紙資源の削減などに貢献することから、政府も奨励している。マイナンバーカードとの連携が実現すれば一気に加速する。

 昨年12月には、画像認証、AI(人工知能)防犯システムを導入した店舗運営の省人化・自動化を目指す次世代スマートストアを千葉県習志野市にオープンした。お客さま目線で、パートナーさまと新しい流通の未来を構築する場にしていく。

 複合機の開発・製造を行う合弁会社をリコーと24年度第1四半期をめどに設立する。販売、ソリューションは独自で行う。新しい形の連携のあり方としてモデルにしたい。