2024.01.18 【情報通信総合特集】ICTベンダートップに聞く 24年の見通し・経営戦略 Dynabook 覚道清文社長兼CEO

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PC買い替え需要獲得へ
ノートPCや周辺サービスを強化

 2023年の国内ICT市場は、DXやセキュリティー需要などで堅調に推移した。BtoB市場のパソコン(PC)は、底を打ち、再び成長期に入っている。為替の対応などが課題だが、今後、Windows10のサポート終了に伴う買い替え需要が拡大、GIGAスクールも次の需要サイクルに入ってくる。ICT市場は、24年も引き続き堅調な伸びが見込まれる。

 当社の23年度業績も順調だ。コストアップ分の売価への適用や製造原価低減などで全体的にコストダウンができている。BtoB市場でシェアを上げている。

 昨年7月に発売したビジネス向けモバイルノートPC「dynabook X83(CHANGER)」が、大口の引き合いなどもまとまり、非常に好調だ。モバイルPCは、バッテリー電源への不満が多いが、バッテリー着脱式を採用、軽さ、薄さ、長時間駆動を実現している。情報量の多い16:10の画面比率、快適な打ち心地なども評価されている。1月からBtoC市場向けにも発売開始し、両輪で攻勢をかける。

 今後、PCはWindows10の移行需要の本格化、GIGAスクールも、25年に向け次の需要のサイクルに入る。PCの周辺サービスも強化していく。PC・IT資産の導入から廃棄までお客さまに代わって管理するライフサイクルマネジメント運用サービス「PCアセットモニタリングサービス」が、大手企業を中心に引き合いが活発だ。今後、資産管理、運用の需要はますます高まってくる。

 工場のラインで、画像認識AI(人工知能)を利用した作業品質をリアルタイムで管理するサービスを製造業向けに提供開始している。損害保険ジャパンと連携し、事故防止のためのサービスを大幅に機能強化した新型ドライブレコーダーや「アルコールチェック管理サービス」を提供しているが、昨年12月から当社独自で、法人事業者向けに通信機能付きドライブレコーダーを活用したテレマティクスサービスを開始した。

 今後、エッジコンピューティング市場が拡大してくる。昨年11月のシャープのTech-Dayでも公開したが、AR用XRグラスも商品化に向け取り組む。生成AIも自社サービスにどう取り入れるか検討していく。

 今年は、世界初のノートPCとしてダイナブックを発売して35周年を迎える。今後も「コンピューティングとサービスを通じて世界を変える」という企業ビジョンを目指していく。