2024.01.18 【情報通信総合特集】ICTベンダートップに聞く 24年の見通し・経営戦略 キヤノンマーケティングジャパン 足立正親社長

利益ある事業規模拡大へ
ITソリューション事業 サービス型を強化

 2023年の経済環境は、新型コロナが5類移行後、顧客接点が増加し、経済も正常化した。ワークスタイルもリアルとハイブリッド型が定着。一方、国際情勢の悪化や円安などで、エネルギーコストの上昇やサプライチェーンの問題が継続した。ICT市場は、活発な企業のDX投資や電子帳簿保存法(電帳法)やインボイス制度も追い風になり、堅調に推移した。

 当社は「2021-2025 長期経営構想」の3年目、「2022-2025 中期経営計画」の折り返しの年として達成に向け着実に前進し、注力するITソリューション事業を大きく伸ばすことができた。

 23年第3四半期(7~9月)は、営業利益と経常利益が第3四半期として過去最高を更新した。また、累計(1~9月)では、キヤノン製品の回復に加え、ITソリューション事業は、好調に推移し、前年同期比12%増と2桁伸長した。

 特にSIサービスが大きく伸びた。ソリューションでは、電帳法、インボイス対応した大手、準大手、中堅企業を対象としたDigitalWork Accelerator(DWA)、中小企業向けのNIコンサルティングとの連携ソリューションなどが好調だった。中小企業のIT環境を支援する「まかせてIT DXシリーズ」、セキュリティー関連も好調。複合機がJ.D.パワーの「顧客満足度調査」で第1位を受賞した。

 お客さまへの課題解決力を高めるため、グループ社員全員がDX検定・DXビジネス検定を受検し、人的資本の底上げを図った。

 24年は、長期経営構想に向け、持続的成長に向けた利益ある事業規模の拡大に取り組む。ITソリューション事業は、25年に売り上げ3000億円の計画に向けてサービス型事業モデルを強化・拡充。保守・運用における付加価値ビジネスを強化し、顧客のDXを支援する。また、中堅・中小企業のIT人材不足やセキュリティー、ITインフラなどの課題に応えていく。

 M&Aや資本業務提携など事業投資も積極的に実施していく。昨年10月にグループ入りした東京日産コンピュータシステムは、ITインフラ、データセンター(DC)サービス、システム運用などに強みを持つので、シナジーを出していく。サービス型ビジネスモデルに対応した基幹システムの刷新、DC事業では3号棟の建設にも着手する。サステナビリティー経営強化、人材の高度化、従業員のエンゲージメント向上にも取り組む。