2024.01.17 【計測器総合特集】計測器 24年の戦略 各社トップに聞く 東レエンジニアリングDソリューションズ 安井弘和専務理事営業本部長

安井 専務理事

半導体業界支援へ認知度高める

 東レエンジニアリングDソリューションズ(TRENGD)は、東レエンジニアリングの計測機器事業とソフトウエア事業が統合して2020年に発足した。

 新中期経営計画の初年度となった23年度は受注がほぼ計画通り、売上高は計画比10%程度の上振れで進捗(しんちょく)する。

 計測機器事業では、デバイス内部のボイドや微小な欠陥を非破壊で検知する超音波センサーがパワーデバイス向けで引き続き堅調だった。水質計も既存ユーザーの更新需要を取り込んだ。

 アジアなど海外展開も拡大し、安井弘和専務理事営業本部長は「半導体工場の排水を測定する用途で韓国でも引き合いが増えてきた」と話す。半導体向けセンサーは市況低迷の影響を受けたが、今年後半の市場回復に期待する。

 ソフトウエア事業は「2024年問題」を背景に、生産管理システム「TONOPS」で「計画」「在庫」「物流」の各プロセスを最適化するDX提案で成果が表れている。AIで配送ルートや生産計画を立案するソリューションの引き合いが増えた。

 次世代自動車分野などに向けてCAE(コンピューター支援エンジニアリング)の提案にも注力する。成形後の収縮やそり変形の発生を予測する樹脂流動解析ソフト「3D TIMONシリーズ」は今年、処理速度の向上やユーザーインターフェースの改善を図り、完全リニューアル版を出す予定だ。

 24年度は酸素計など計測機器の新製品開発を急ぐ。安井専務理事は「半導体市況が立ち上がる次のサイクルの波に乗れるよう準備を進める」と狙いを語る。そのための人材確保は急務の課題であり、中途採用にも力を入れる。

 安井専務理事は「TRENGDはソフトウエア事業も手掛けるユニークな企業。グループ内での存在感をもっと高め、特色ある会社にしたい」と今年の抱負を述べる。

 特に計測事業では酸素計や超音波センサーでリーディングカンパニーになるビジョンを掲げている。「半導体業界を支える面でも、会社や製品の認知度をさらに高めたい」と意気込む。