2024.01.17 【計測器総合特集】計測器 24年の戦略 各社トップに聞く エヌエフホールディングス 高橋常夫会長
高橋 会長
カスタムメードで高付加価値提案
エヌエフグループは、電源パワー制御、計測制御デバイス、環境エネルギーの主要3事業に校正・修理事業を加え、科学技術の発展と持続可能な社会の実現に貢献する新しい価値の提供に努めている。
電源パワー制御では産業関係の脱炭素への貢献にさらに注力する。電動化が進む建機や重機に対してインバーターやバッテリー充電用電源を提供。高橋常夫会長は「産業関係の電動化には充電規格の統一がされていない。カスタムメード的な対応で付加価値の高い提案をしていく」と話す。
計測制御デバイスは、ファンクションジェネレーター、周波数特性分析器、ロックインアンプという国産メーカーとして強みのあるフラッグシップ3製品をさらに進化させ、日本の科学技術の進歩に合わせて新製品を展開する姿勢を堅持。さらにこの三つの技術を使った組み込み計測モジュールをラインアップに加えていく意向だ。
国産量子コンピューター向けに低雑音アンプなどが使用されているが、ファンクションジェネレーターも磁場を反転させる用途で採用。NFグループの低雑音信号処理技術が注目されており、さらなる発展が期待される。
こうした計測技術は物理世界を飛び出し、ライフサイエンス領域への応用もなされている。弱磁場MRIの研究では、低雑音増幅器が米ハーバードメディカルスクールの研究設備に納入され、開発に利用された。ライフサイエンスは北米市場を視野に今年はさらに強化する。
環境エネルギーでは、大型需要家向け保護リレー試験器が好評。高橋会長は「コスト競争力のある製品を出せた。オンリーワンの製品として市場を広げていきたい」と自信を見せる。業務用・産業用蓄電システムにも力を入れていく。
グループの方向性としては「脱炭素」とともに「イノベーション」も重要な柱。自社の基礎技術研究センターの活動とともに他社との協業も含めて新事業創出を図りたい考えだ。コロナ禍や部材不足などの影響で「経営的にも守りに入っている傾向がある」と高橋会長。「今年は革新の年にしたい」と前を見据える。