2024.01.17 【計測器総合特集】計測器 24年の戦略 各社トップに聞く HIOKI 岡澤尊宏社長
岡澤 社長
エネマネ領域での提案を強化へ
HIOKIは2020年に発表した長期経営方針で「電気計測業界のフロントランナーとして、顧客と共に持続可能な社会をつくるソリューションクリエーターになる」と宣言した。
この間、同社の想定以上の速さでサステナビリティー実現の動きが加速。化石燃料から電気エネルギーへの転換を目指す市場は拡大し、計測の需要増加も大きく見込まれることから、24年は生産の体制強化を図る。
21年に現場測定器の一貫生産拠点として坂城工場(長野県坂城町)を増設し、本社工場(同上田市)も増床増築。昨年は本社工場近くに第二工場の用地建物を取得し、自動試験装置の一貫生産を担う拠点として7月頃に稼働を予定する。本社工場は電子測定器と記録計の生産に絞り、「多品種中量生産」への対応を進める。
岡澤尊宏社長は業績に大きく貢献してきたバッテリー向け以外に、「裾野の広いエネルギーマネジメント領域の需要が伸びてきた」と話す。今後、同分野での効率改善に向けた計測ソリューションの提案を強化したい考えだ。
昨年3月には共同研究や仮説検証ができる設備を備えた「協創ラボラトリー」を開設。バッテリーやパワーエレクトロニクス、水素などの分野で顧客との協力関係を構築するための施設で、想定以上の来訪者があり、今後に期待を持てる手応えを感じている。
24年は国内の販売体制を従来のエリア営業の部隊と、マーケット軸で動く営業部隊の2体制に大きく変える。テクニカルセンターの機能を持たせる部署と地域密着でより深く顧客との関係構築を図る部署の2体制。深い知見を持った販売スタッフが対応することで、新たな顧客価値の創出を狙う。中国も同様にマーケット軸の営業を強化する方針だ。
市場の追い風を受け、21年度以後、好業績が続く。今年度も計画通りの進捗(しんちょく)だが、岡澤社長は「良い時だからこそ変えないと次の変化に対応できない」と気を引き締める。「良質なリスクを取って挑戦する」と攻めの姿勢の構えだ。