2024.02.15 電機大手労組、強気のベア1万3000円要求相次ぐ 24年春闘

日立の田中執行役常務に要求書を手渡した日立労組の半沢中央執行委員長(左)=15日、東京都千代田区の日立本社

 2024年の春季労使交渉(春闘)で、日立製作所や富士通など電機大手の労働組合は15日、要求書を経営側に提出した。基本給のベースアップ(ベア)に相当する賃金水準改善分として、各労組とも前年から6000円増の1万3000円を要求した。物価上昇を上回る賃上げで経済の好循環を生み出す機運が高まる中、堅調な業績や人材争奪戦の激化なども背景に強気の姿勢を印象付けた。

 日立労組は東京都千代田区の本社で同日、要求書を経営側に提出した。ベア相当分は、現行の要求方式となった1998年以来最高の水準。一時金に関しては、年6.4カ月(前年要求は6.3カ月)を要求した。労組の半沢美幸・中央執行委員長は、「上部団体の方針を踏まえ、また経済情勢、企業業績、組合員の生活実態などを冷静に分析し、要求を立案した」とコメントした。

 これに先立ち、日立で人財統括本部人事勤労本部長を務める田中憲一執行役常務は報道陣の取材に応じ、総合的な「人への投資」を巡る対話を労使で深める姿勢を強調。さらに「昨年を上回るような賃金引き上げを期待する声があることは承知している」とした上で、「(賃金や賞与などの報酬全体を表す)トータルリワードや(職務を明確化して自律的なキャリア形成を促す)ジョブ型人財マネジメントの推進といった施策で労働生産性や収益を上げ、サステナブル(持続可能)な形で賃上げにつなげていきたい」と述べた。

 またNEC労組は、ベア相当分として4.3%の加算を求める要求書を経営側に提出。現行水準に対して、月1万3000円の引き上げに相当するという。

 電機大手の労組がベアを要求するのは、11年連続。労使交渉は、3月13日の集中回答日に向けて本格化する。激しいグローバル競争にさらされる大手各社の経営陣は、競争力の源泉となる人材の確保という観点からも、より積極的な人への投資を迫られている。