2024.02.16 インド半導体産業の可能性に期待 米シンクタンクが報告
半導体関連企業の例(レポートから)
米シンクタンク、情報技術イノベーション財団(ITIF)はインドの半導体業を巡るレポートをまとめた。地政学リスクが指摘される中、グローバルなサプライチェーンのバランスの上での重要性を指摘し、さらなる成長の可能性を提起、投資を後押ししている形だ。調査を依頼した米国半導体工業会(SIA)などもこれを歓迎している。人材などの課題も挙げられている。
米印両国は、重要な新興技術に関する共同イニシアチブを発表。両国の経済界やアカデミア、政府機関の間で戦略的技術パートナーシップなどを拡大することが打ち出された。SIAと、インドのインドエレクトロニクス・半導体協会(IESA)が、補完的な半導体エコシステム促進などで合意。SIAとIESAの依頼を受けて、ITIFが現地調査や関係者の聞き取りなどを踏まえ、レポートをまとめた。
レポートでは、インドの消費者市場やビジネス市場の規模の大きさや発展の速さを指摘。電子部品生産の強みや、グローバルなサプライチェーンのリバランスを踏まえると、「世界の半導体のつながりの中で、存在を高めるこのタイミングをとらえるべきだ」との認識を示した。
当面だけでも、半導体の組み立てやテスト、パッケージングで、最大5カ所の施設が整備され、28ナノメートル以上のレガシー半導体生産が誘致されるとみられる。また、インドではの数十年にわたる半導体設計の経験の蓄積があり、世界のIC設計人材の約2割、12万5000人以上のワーカーがいるという。
ただ、人材不足も課題で、インドでは毎年8万人以上のエンジニアが教育機関から輩出されているが、産業に適したコースやトレーニングが必要で、卒業してすぐに半導体業界で活躍できる人材はごく一部としている。
また、投資家にとっては、投資先の安定性や確実性、予測可能性も重要。そこで、インド当局について、「ビジネスや政策環境の改善をさらに深めるとともに、ビジネスに不確実性をもたらす政策を避ける必要がある」と提起している。
推奨する事項として▽半導体に関する米印の協力推進▽熟練労働者の移動を容易にするためのパイロットビザプログラム▽インドでの半導体企業のコストを下げるための、税優遇や通関措置の緩和▽高等教育機関とのパートナーシップ、なども挙げた。
(19日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)