2024.03.18 富士通、日立と相次ぎ協業 AWSが日本のクラウド市場で攻勢

協業の狙いについて説明するAWSのウクポン氏

 アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は4月から、日本のIT企業との協業を加速させる。18日には富士通との戦略的協業を発表。既存情報システムの最新化(モダナイゼーション)に向けて連携し、メインフレーム(大型汎用コンピューター)で稼働する基幹システムのクラウド移行を支援する。11日には日立製作所とクラウドサービス強化に向けた戦略的協業を結んだばかりだ。

 「クラウドを安全な形で世界中に提供するわれわれと、日本のメインフレーム市場でリーダーの富士通による強力なチームによって、生成AI(人工知能)時代のメインフレームデータ活用を支援していきたい」。18日、東京都千代田区で開いた記者会見で、AWSグローバルサービス担当バイスプレジデントのウウェム・ウクポン氏はこう力を込めた。

 メインフレームやUNIXサーバー上で稼働する基幹システムを、オンプレミス(社内運用)からクラウドに移行する取り組みが進んでいる。こうした中、富士通は、2030年にメインフレーム、29年にUNIXサーバーの販売を終了する方針を示す。

 協業は4月1日から。まずは約700台が稼働する富士通製メインフレームの利用企業を対象にクラウド移行を支援し、富士通製UNIXサーバー(約9600台)や他社製メインフレームに順次対象を拡大。29年までの5年間で欧州、北米、アジアなど40社・団体を支援する方針だ。

 AWSは、日立との戦略的協業を11日に発表している。日立は4月1日からAWSの技術支援を受け、複数のクラウドを組み合わせたハイブリッドクラウド環境の提案を強化する。

 AWSは今年1月、日本でのクラウドサービス拡大に向け、27年までに国内クラウドインフラに2兆2600億円を投資する方針を明らかにしている。日本のIT企業と連携を深めることで、クラウド移行が拡大する官公庁や企業の需要獲得に向け攻勢を強めたい考えだ。

(19日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)