2024.03.22 【九州・山口産業特集】人吉アサノ電機 九電と協業で「エレワイズ」拡大

浦川 社長

 人吉アサノ電機(熊本県人吉市)は、自社で開発した空調設備の電力ピークを無線で監視・制御できるシステム「エレワイズ」が脱炭素を追い風に、好調に伸びている。

 提携している福岡銀行など4行からの引き合いもあり、工場だけでなく、病院、学校、金融機関、官公庁など500社を超える導入実績がある。

 4月からは九州電力との協業が本格稼働、九州電力が提供する電力監視システムと、人吉アサノ電機の監視・制御システムのエレワイズがクラウド上で連携する。電力の見える化とともに制御でき、電力の効率的な利用に貢献する。

 エレワイズは今期(24年9月期)入って既に前年比120%程度と順調だ。中小企業でもカーボンニュートラル、SDGs、GXなど、省エネ関連の展開が広がっていることも後押ししている。

 エレワイズ伸長の理由の一つに、広報部門を社内につくらず、プロデュースを外部委託したことが認知度アップなどに貢献したという。このたび、その担当者が独立することになり、同社が出資してマーケティングからホームページ、ECサイトも手掛ける「CloyEyes(クロイアイズ)」を立ち上げた。社名には今まで見えていなかったものが見られる、そんな思いが込められている。

 今までの業界で得たノウハウを、ほかの分野や地域発展の助けになればという思いで参画した浦川敬社長は、例えば地元人吉の焼酎など、「知られていない技術や商品をもっと世の中に広めたい」と語る。稼働は3月からだが、既に大手企業からも受注があるという。

 商品コンセプトから関わる広報活動に参加するなど、今後の展開に期待する。

 今期の見通しについて、既存事業のマグネットリレー事業は電子部品が在庫調整の局面にあり、前期比30%ダウン、回復は2025年以降を見込む。全体ではエレワイズ事業の好調もあり、売り上げは1割減程度で収まっている。前期は全体で9億4000万円の売り上げと10億円が目前だったが、達成は来期を見込む。

 新規事業の立ち上げで社内も活性化しており、下期で拡大を図る。