2024.03.26 【電子部品メーカー/商社 大中華圏拠点特集】ケル 車載市場向けを中長期で拡大へ
國藤 董事・総経理
ケルは、上海市に販売子会社「科陸電子貿易(上海)有限公司」(ケル上海)を設立し、中国顧客向けにコネクターの販売・供給を行っている。同法人では車載を中心に順調に売り上げを増加させており、今後もEV(電気自動車)化や自動運転化が進む車載市場向けのビジネスを中長期で拡大させる計画。
ケル上海は2008年に設立された。現状では中華圏に生産拠点はなく、珠海、四川、青島の協力会社に生産委託している。また、中国ビジネス拡大のため、20年に深圳、21年に四川、22年に武漢に分公司を設立した。従業員数は19人。
23年度の中華圏売上高は、USドル取引のケル香港の商流も含め前年比2%増、24年度はさらなる増収を目指す。車載市場を中核に売り上げは増加傾向で、特にEV向けにフローティングコネクターの商談が成約し、スペックインが進んでいるため、今後も売り上げ増を見込む。「フローティングコネクターは以前からカーナビ向けに供給してきたが、最近はADAS/自動運転関連等での採用が広がっている」(國藤博康董事・総経理)。
車載分野では、高速伝送、高耐熱性、フローティング量の増大、電流容量値増加など、顧客からの付加価値要求が一段と高まっている。L/T短縮要求も強いため、「L/T短縮、在庫の削減を目的に中国国内での工場建設も視野に入れる」(國藤董事・総経理)。製造面では、日本の工場と同様に、自動機組み立てと金めっきの部分めっきとさらなる薄めっきの導入により、コスト低減を推進する。
今後も中期戦略として車載市場に注力し、フローティングコネクターの販売と生産強化を進める。将来的には、工業機器・医療・半導体製造・電力市場の開拓に注力し、高付加価値製品販売を強化していく方針。
今後の中華圏の見通しについて國藤董事・総経理は、「自動車市場は生産の上下はあっても、一定の生産数量は確保できると思われる。EV化、自動運転化に伴い、さらなる高速伝送、多極のフローティングの商談発掘を期待している」と話す。