2024.03.26 中国市場でパワー半導体の生産急増、セミコンチャイナで日系製造装置に脚光 EV普及が後押し

実機展示を囲んでの商談も盛んだったセミコンチャイナ

多くの来場者で活況を呈した多くの来場者で活況を呈した

 半導体の製造装置や材料・部品関連の国際見本市「セミコンチャイナ2024」(主催:SEMI)が20-22日の3日間、中国・上海で開催された。世界中の国や地域から約1150社が出展し、展示スペースも前年を上回る規模に拡大。中でも電気自動車(EV)普及を背景に需要が拡大するパワー半導体は、中国での生産が急増している。検査装置を手掛けるレーザーテックは「SiC(炭化ケイ素)などのパワー半導体メーカーは中国国内で増えており、引き合いは以前から強い」(森泉幸一取締役専務執行役員)と強調する。

 中国政府が推進する半導体国内自給政策を背景に、半導体製造装置の需要が高まる中国。米中貿易摩擦の影響もあり、最先端プロセスに必要な製造装置を中国に輸入することはできないものの、規制対象は一部に限られる。そうした中、日系各社は中国向けの注力製品などを訴求し、自社の強みをアピールした形だ。

 SCREENセミコンダクターソリューションズは、300ミリメートルウエハーに対応した枚葉式洗浄装置「SU-3400」を展示。従来機からチャンバーを増やし生産性を向上した。

 KOKUSAI ELECTRICは成膜プロセス装置やトリートメント(膜質改善)プロセス装置などを紹介。同社が強みを持つバッチ式ALD(原子層堆積)技術を提案し、微細化や三次元積層化が進む難易度が高い成膜を支援。宮本正巳執行役員は「中国国内での半導体製造が増加傾向にあり、引き合いは強い。中国においても高品質な膜をステップカバレッジ良く、均一に成膜するALD技術への関心は高い」と話す。

 レーザーテックはパワー半導体向けに、SiCウエハー欠陥検査/レビュー装置「SICA88」や、GaN(窒化ガリウム)ウエハー欠陥検査/レビュー装置「GALOIS211」などをパネルで紹介した。

 中国市場では今後も、半導体の製造装置や材料の需要は高水準で推移すると見込まれている。今年後半にはグローバル市場も本格回復が見込まれ、市場の高まりに期待が掛かる。

(27日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)