2024.03.27 【関西エレクトロニクス産業特集】関西の民放各局の動き

SkyシアターMBS

MBSメディアホールディングスの髙山社長MBSメディアホールディングスの髙山社長

 4年に及ぶコロナ禍を経て関西の民放局で今春、新しい動きがみられる。毎日放送(MBS)ではJR大阪駅前に建設していた新しいシアターが完成。テレビ大阪は新本社ビルが昨年末に竣工(しゅんこう)し、間もなく新局舎から放送を始める。

MBSメディアHD 「SkyシアターMBS」お披露目

 27日にオープンする「SkyシアターMBS」のお披露目会が15日、大阪市北区の同劇場で行われた。

 MBSメディアホールディングス(HD)の髙山将行社長は「2階席も距離が近く、観客と舞台の演者が一体となれる素晴らしい劇場がいよいよオープンする」と話す。

 同劇場は、JR大阪駅西側の旧大阪中央郵便局跡地に建つ「JPタワー大阪」6階にある。客席数は1階席と2階席合わせて1289席。

 1階には、11トン車2台を留置できる劇場専用の屋内荷さばき場があり、専用大型搬入エレベーター(EV)と楽屋周り搬入EVが舞台上手に直結したつくりとなっている。

 同劇場のオープニング演目は、SkyのCMにも起用されている藤原竜也さんが主演を務める舞台「中村仲蔵~歌舞伎王国 下剋上異聞~」(27~31日)。以降、ブロードウェイミュージカル「カム フロム アウェイ」(4月4~14日)、PARCO PRODUCE 2024「リア王」(4月18~21日)と続く。

 お披露目会では、講談師の神田伯山が、大食漢の横綱が主人公の縁起のいい講談「阿武松緑之助」を披露したほか、京都を拠点に活動している劇団「ヨーロッパ企画」による劇場紹介VTRの上映や、ダンスエンターテインメントを提供する「梅棒」と同志社香里高等学校ダンス部のコラボパフォーマンスが行われた。

テレビ大阪 新社屋が完成、今春から運用開始

完成したテレビ大阪の新社屋
テレビ大阪の品田社長

 開局42周年を迎えたテレビ大阪。設計から竣工まで4年の歳月をかけた新社屋が完成した。23年12月に竣工、今春から運用を始め、新スタジオでの放送開始は5月の予定だ。

 大阪市中央区大手前に完成した新社屋は旧社屋の東隣。ホテルも同居する21階建ての複合ビルで、テレビ大阪は1~4階に入居する。1階のエントランスは幅10メートル、奥行き25メートル、高さ8メートルの大きい空間になっていて、エントランス、ホールA、Bの3ブロックで構成。Bホールには270インチの大型LEDモニターを設置し、イベント開催が可能な多目的広場としての機能を備えた。IP化を含め放送設備や経理システムも一新した。

 執務フロアも従来のレイアウトを一新、工夫がみられる。どの社員もパソコン一つで仕事が可能なフリーアドレス仕様とするとともに、共創エリア、リモート会議もできる個室ブースを設けた。

 新社屋は情報発信のためのメディアの拠点以外の役割も果たす。

 大阪最大の観光資産の大阪城公園から至近距離にあり、観光名所に富んだ大川(旧淀川)が近くを流れ、大阪天満宮も近い。観光の拠点として活用できる。大阪・関西万博の開催を機に地域活性化の拠点にしたいという。

 今月1日、開局42周年記念式が行われ、品田卓社長は社員を前に「〝大阪、関西を元気に〟を旗印に地域とともに歩むメディアを目指そう」と呼び掛けた。

 関西のテレビ局ではNHKとほかの民放4局が既に局舎の建て替え移転を終えており、テレビ大阪が在阪局として最後の局舎移転になる。