2024.04.02 関西テレビ、「回想法シアター」事業開始 派遣型サービスで認知症予防
兵庫県西脇市での開催風景
関西テレビ(大阪市北区)は、豊富なアーカイブ映像を利用して健康寿命の延伸を図る「回想法シアター」事業を2024年度から開始した。23年度に有償で実証実験を4回行い、事業化に踏み切った。社内プロジェクト「カンテレイノベーションチャレンジ(KIC)」の新規事業開発への提案の中から選ばれた。
昔の経験や思い出を語る一種の心理療法が回想法だ。1960年代に「老年学の父」と呼ばれた米国のロバート・バトラー博士が提唱した。過去の懐かしい写真や映像を見ながら思い出を語り合えば脳の活性化と心地よい刺激をもたらし、高齢者の認知症の予防や進行抑制に効果があるとされている。
同社は58年11月の開局以来、数多くの映像を撮影・所有。これまでに制作した番組や収録映像を、出向いた先で上映し、参加者に当時の思い出を語り合ってもらう派遣型イベントとして事業化した。
昨年は大阪市浪速区や兵庫県西脇市などの地方自治体、企業の依頼で、有償で回想法シアターを開催してきた。
今年度からは回想法シアターを商標登録し、事業として立ち上げ、地方自治体や企業、介護事業者などへ採用を働き掛けていく。
回想法シアターについて監修した東北大学加齢医学研究所の瀧靖之教授は「懐かしむことはストレス解消につながり、ポジティブに生きられる可能性が医学的に考えられている」と語る。(3日の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)