2024.04.08 事業の選択と集中加速 グローバルで構造改革実施など コニカミノルタ、中計進捗

大幸 社長大幸 社長

 コニカミノルタの大幸利充社長兼CEOは、2023年度からスタートした中期経営計画(2023~2025)の進捗(しんちょく)状況を説明、24年度は「その後の持続的成長を実現するため、事業の選択と集中を加速させる」と強調。生産性を向上させるため、グローバルでの構造改革の実施など新たな施策を発表した。

 同社は、中期経営計画で、等身大の経営と高収益企業への回帰を基本方針に、大きく三つの実行課題を設定している。

 具体的には①事業の選択と集中、強化事業への資源の配分②収益基盤強化のための構造改革の実行③事業管理体制の強化―などに重点的に取り組んでいる。

 同計画の進捗状況について「事業収益力の強化では、過去の経緯にとらわれず、改革に向けて大きな一歩を踏み出し、成果が出つつある。売上高、営業利益、キャッシュフローはおおむね、計画通り進捗している」と総括した。

 また「24年度は、3カ年の中期経営計画の中で、極めて重要な年になる。強化事業の成長を追求するとともに、オフィス事業の収益力を強化する。生産性を向上させる構造改革をグローバルで実行し、事業の選択と集中を加速させる」と強調。

 同社は、22年度までを「Phase1」とし、過去の大型買収による「のれん」の減損計上など「過去からの決別」に取り組み、現中期経営計画では23年度と24年度を「Phase2」とし、「事業の選択と集中」、25年度を「Phase3」とし「成長基盤の確立」と位置付けている。

 24年度は①グローバル構造改革による生産性向上、事業戦略・機能戦略と呼応した人財施策の実行(適材適所の人財配置、人的資本の最適化)②情報機器事業でのアライアンスの可能性の追求③将来成長への準備加速に取り組む。25年度では、事業成長に向けた強化戦略を本格化させる。

 インダストリー事業は、市況と連動したスマートフォンなどの製品開発の遅れなどがあるものの、CAGR(年平均成長率)10%、25年度では事業貢献利益率20%以上を計画する。特に光学コンポーネントの戦略的業務提携による産業用途へのシフトで収益性向上を図る。

収益力を強化

 オフィス事業は、生産コストの徹底的な削減、OneRate(独自の定額課金モデル)の拡大、グローバル構造改革の効果、などから収益力を強化。事業貢献利益率を、23年度の6.5%(見通し)から25年度には7%へと高める。また、中長期成長を支える次世代製品の投入による商品力向上と、さらなるサービス効率化を実現していく。

 今回、新たな施策としてグローバル構造改革を実施する。具体的には中期経営計画を達成し、持続的なビジネスの成長を実現するため、事業の選択と集中を実行する施策に加え、グループ社員一人当たりの生産性向上を図るための施策をグループレベルで実行していく。

 その一つとして、生成AI(人工知能)の活用などを通して、高付加価値業務に人財がシフトできるような積極的な投資を実施する。同時に、強化する事業・地域を中心とした適材適所の人財配置や、人財育成の教育投資を継続して実施し、対話を重視してエンゲージメントを向上させる。

 さらに、生産性向上に向けた追加の施策として、グローバルの人員を最適化する。対象は、グループ全社で2400人規模(正規・非正規雇用従業員)を計画、24年度中に実行する。これにより、25年度の事業貢献利益の押し上げ効果は、実施前と比較して約200億円となる見込みだ。