2024.04.10 テラスカイが生成AIサービス発表  「mitoco AI」提供開始

mitoco AIを発表する山田取締役(右)と岩井部長mitoco AIを発表する山田取締役(右)と岩井部長

正しく素早い経営判断サポート

 テラスカイ(東京都中央区)は9日から、Salesforce(セールスフォース)と生成AI(人工知能)を組み合わせた新サービス「mitoco AI」を、提供開始した。「セールスフォースのプラットフォームでERPを提供。ヒト・モノ・カネ・顧客情報の一元化により、正しく素早い経営判断をサポートしていく」と山田誠取締役専務執行役員(製品事業ユニット長)は強調する。

 同社は、昨年9月からセールスフォースで財務会計から人事給与、販売・購買・在庫管理までの業務を統合し、戦略的営業活動と迅速な経営判断を可能にする新クラウドサービス「mitoco ERP」を提供開始している。

 mitoco AIはセールスフォースのオブジェクト構造を学習しており、ユーザーの自然言語による要求に対し、セールスフォース組織内に格納されたデータから適切な回答を導き出す。

 セールスフォース上に会計や販売管理システムを統合するmitoco ERPと組み合わせることで、経営に必要なさまざまなデータに横断的にアクセスでき、ユーザーは意思決定に必要となるデータの利活用を手軽に行うことができる。

 自然言語での要求が可能なため、レポート作成やBI(ビジネスインテリジェンス)の使用に必要なスキルが必要なく、必要な情報を迅速に得ることができるため、業務効率化と生産性向上を実現する。

 加えて、mitoco AIはMicrosoft Azure上の生成AIから回答に必要なデータを取得するための実行計画の指示を受け、セールスフォース内の業務データから適切な回答を生成する。

 山田取締役専務は「セールスフォース内の業務データを生成AIに渡すことがないため、セキュリティー面の懸念なく安心して利用できる」ことを重要なポイントの一つとして挙げる。

 同社は、2006年の創業以来、セールスフォースとともに成長し、グループ(13社)の案件数は、1万7000件を突破している。長年にわたり培ってきたセールスフォースの知見を生かし、mitoco AIを「29年までの5年間で300社の売り上げを目指す。また、順次、バージョンアップしていく」と岩井哲郎AI・LINE開発部部長は話す。10月には、mitocoグループウエアとの連携強化、25年以降データクラウド連携など計画する。

 ■mitoco AIのアーキテクチャー

 mitoco AIは指示を受けると、回答に必要なデータをどのようにオブジェクトから取得すべきかを判断し、その実行計画をMicrosoft Azure上の生成AIに依頼。OpenAIは、実行計画に沿ってデータを取得するためのSOQL(Salesforce Object Query Language)を発行し、mitoco AIはそのSOQLを実行してセールスフォースのオブジェクトからデータを取得し、適切な回答をユーザーに返す。