2024.04.12 【やさしい業界知識】AV機器  

20年以降前年割れ続く

支出伸び悩み、需要獲得に苦戦

 テレビやレコーダー、オーディオ、カーAV機器などの国内AV機器市場は2023年(1~12月)、年間出荷(金額)は前年比10.1%減の1兆1232億円(電子情報技術産業協会=JEITA)となった。

 映像機器は同12.7%減の5100億円、オーディオ機器は同2.8%減の706億円、カーAVC機器は同8.4%減の5426億円と、いずれも振るわなかった。

 国内のAV機器は新型コロナウイルス感染拡大に伴う巣ごもり需要があった20年7月から21年6月までは毎月前年を上回って推移していたが、通年でみると20年以降前年割れが続いている。この1年は外出機会も増えてきていることもあり、AV関連機器への支出は減っている。

TV大画面化は進む

 映像機器は、これまで大画面で高精細な4Kテレビの販売が堅調に推移し、テレビ全体をけん引してきたが、最近は苦戦を強いられ、出荷台数は3年連続でマイナスとなった。テレビは買い替えが大半で使用期間が長期化していることも要因になっているが、テレビ購入者層の大画面化は進んでいる。テレビ全体の出荷台数に占める4Kの割合は半数を超え、金額は約8割程度で推移し、この数年は同じ傾向が続いている。

 ハードディスクドライブ内蔵のブルーレイディスク(BD)レコーダーやBDプレーヤーは12年以降減少傾向が続いている。レコーダーは4K対応や多チャンネル同時録画、番組丸ごと録画できる高機能モデルなどが増えており、一度購入した人は継続して買い替える傾向があるが、新規購入者が大きく伸びていないのが課題になっている。インターネット配信の拡大なども影響しているとみられる。

 デジタルビデオカメラは、デジタルテレビへの切り替え時に市場が拡大したものの、スマートフォンによる動画撮影の拡大で市場は減少が続く。4K撮影対応機や、身に着けてアウトドアやスポーツシーンなど躍動感のある映像撮影をするアクションカメラなどの製品群は充実しているものの、市場全体は伸びていない。スマホ撮影からステップアップする新たな動画撮影層の獲得が課題になっている。

ハイレゾ対応が中心に

 オーディオ関連は、CDよりも高音質なハイレゾリューション音源に対応した機器が中心になってきている。主要オーディオ各社は据え置き型のオーディオシステムをはじめハイレゾ対応を進めており、携帯型のポータブルオーディオやヘッドホンのハイレゾ対応も進んでいる。この数年はブルートゥース対応の製品が拡大しているほか、インターネットにつなぐスマートスピーカーの利用も増えつつある。

 ホームシアターシステムは、最新の映画音響技術「ドルビーアトモス」などに対応したアンプも増えているほか、テレビの前に簡単に設置できるサウンドバーなどの提案が進みテレビとのセット販売などに取り組んでいるが、テレビの高音質化も進み新たな需要獲得には苦戦しているのがこの数年の実情だ。

 カーAVCは新車販売台数などに左右される傾向が強い。カーナビゲーションシステムは半導体不足などの影響は収まりつつあるが、市販製品は苦戦が続いている。一方、ETC2.0車載器は好調に推移。安心安全の観点で拡大していたドライブレコーダー市場は一服感が出ている。

(毎週金曜日掲載)